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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

けいざい四季報 2022 Ⅲ ③ 国内景気 「持ち直し」いうが低迷続く

2022-10-02 07:11:02 | 経済・産業・中小企業対策など
けいざい四季報 2022 Ⅲ ③ 国内景気 「持ち直し」いうが低迷続く
【ポイント】
①政府は「持ち直し」としているが、景気低迷が実態。失政による消費不況
②大企業利益も内部留保も過去最高を記録。役員報酬も増加、格差は鮮明に
③最低賃金増加率は物価上昇以下。税の集め方も使い方も逆立ちがハッキリ

政府は8月の月例経済報告で国内景気の基調判断を7月に引き続き「緩やかに持ち直している」としました。しかし、国民生活の実態は苦境が続きます。

数字のマジック
前期比年率2・2%増(実質)だった4~6月期の国内総生産(GDP)が発表された8月15日、山際大志郎経済再生担当相は記者会見でGDPの水準が「コロナ前の水準に達した」と胸を張りました。4~6月期のGDPは改定値で3・5%増へと上方修正されています。しかし経済が好調だとはとてもいえません。
比較対象となった「コロナ前」とは19年10~12月期のこと。当時の安倍晋三政権が10%への消費税増税を強行した時期です。個人消費の低迷でGDPは年換算で増税以前より15兆円程度も下落しました。この時期の水準と比較するのは数字のマジックです。実際、22年4~6月期は19年10~12月期を上回ったとはいえ、5兆円程度。増税前を回復したとはいえず、自公政権の失政による消費不況はなおも続いているのです。

格差が明らかに
景気が低迷するもとでも、大企業は空前の利益を上げています。財務省の法人企業統計によると21年度の大企業(資本金10億円以上、金融・保険業を含む)の経常利益は60・2兆円と過去最高を更新しました。12年度からの推移を見ると、売上高は1・02倍と横ばいなのにもかかわらず、経常利益は1・67倍、配当は2・02倍と急増。賃金は1・05倍と横ばいでした。景気低迷を背景に、投資先がなく、21年度の内部留保は484・3兆円と最高額を更新しました。
格差は企業内でも鮮明です。東京商工リサーチのまとめによると、上場企業の22年3月期決算で1億円以上の役員報酬を開示したのは287社、663人と社数・人数ともに過去最多を更新しました。役員報酬と従業員の平均給与との格差が最も大きかったのはトヨタ自動車で105・7倍でした。



「軍事費2倍化反対」を掲げる人たち=7月19日、北海道江別市

■国内経済の主な出来事(7~9月)
7/16月の日銀短観で大企業製造業の景況感が2期連続で悪化
7/6日銀の生活意識アンケートで9割が物価高騰を実感
7/822年上半期の企業倒産が2年ぶりに増加
7/26政府がキオクシアなどの半導体事業に補助金を支出すると発表
8/4トヨタが4~6月期決算で同期として過去最高の営業収益
8/16東京商工リサーチの調査で3割の中小企業が過剰債務と回答
8/29経済安保重要技術27項目を選定
9/121年度末の大企業内部留保が484.3兆円に
9/6実質賃金が4カ月連続減
9/84~6月期の実質GDPを年3.5%増に改定
9/13企業物価が過去最高を更新
9/22日銀が24年ぶり為替介入


“逆立ち”の行政
国民生活の苦境を打開し、格差を是正するために行政はふさわしい役割を果たさなければなりません。しかし、十分に果たされていません。
地域別最低賃金の22年度改定で最低賃金は全国加重平均で961円と、現行から31円増となりました。増加率3・2%は生活必需品の物価上昇率にも届きません。実質的には引き下げです。
23年度予算編成に向けて各省からの概算要求が出そろいました。軍事費は「GDP比2%以上」を念頭に、「5年以内に抜本的に強化」することを目指し、大幅に増額します。一方、社会保障をはじめ、暮らしを支える予算は抑制傾向です。概算要求と同時に各省から提出された税制改正要望には大企業により大きな恩恵を与える研究開発減税の拡充などが盛り込まれました。証券優遇税制の是正や消費税減税は対象とされておらず、税金の集め方も使い方も逆立ちと言わざるを得ません。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年9月30日付掲載


景気が低迷するもとでも、大企業は空前の利益を。財務省の法人企業統計によると21年度の大企業(資本金10億円以上、金融・保険業を含む)の経常利益は60・2兆円と過去最高を更新。12年度からの推移を見ると、売上高は1・02倍と横ばいなのにもかかわらず、経常利益は1・67倍、配当は2・02倍と急増。賃金は1・05倍と横ばい。
地域別最低賃金の22年度改定で最低賃金は全国加重平均で961円と、現行から31円増となりました。増加率3・2%は生活必需品の物価上昇率にも届きません。実質的には引き下げ。

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