きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

検証TPP「大筋合意」は何を示したか⑨ 撤退が最良の“対策”

2015-12-26 19:56:21 | 経済・産業・中小企業対策など
検証TPP「大筋合意」は何を示したか⑨ 撤退が最良の“対策”

環太平洋連携協定(TPP)の「大筋合意」を受けて、安倍晋三政権は11月25日、「総合的なTPP関連政策大綱」を打ち出しました。「大筋合意」といっても、まだ協定正文は確定せず、各国の署名や批准の見通しも不透明です。その中で、安倍政権は“交渉は決着した。あとは国内対策”とばかりに「政策大綱」を急いだのです。

「合意」押しつけ
秘密交渉で大幅に譲歩した「大筋合意」の全容を国民にも国会議員にも明らかにせず、議論の焦点を“国内対策”に移して「合意」を押しつけ、都合のよい宣伝で国会審議や来年の参議院選挙も乗り切ろうという狙いです。
今、政府に必要なのは条文案や交渉経過の全容を公開し、徹底した国民的議論に委ね、国会決議との整合性、経済や暮らしへの影響を検証することです。
「政策大綱」は、打撃を受ける農業分野について、「長期的な影響が懸念される中、農業者の将来への不安を払拭(ふっしょく)する対策を集中的に講ずる」としています。しかし、輸入「自由化」による打撃を「国内対策」で防げないことは、20年以上前の牛肉・オレンジの「自由化」でも、米の市場開放でも、すでに経験ずみです。かつてと比べて、農業危機が格段に深く、かつ史上最悪の「自由化」が襲うもとでは、「不安の払拭」などできるはずありません。



TPP交渉「大筋合意」撤回、調印・批准するなと署名を訴える行動参加者=11月18日、長野駅前

font color="black">農業が総崩れに
農業“対策”で「政策大綱」が掲げているのは、「農林水産物の輸出額1兆円目標の前倒し」であり、「経営感覚に優れた担い手の育成」など、従来の「攻めの農政」の焼き直しです。
農林水産物の輸出額1兆円目標といっても、外国産を原材料とする加工食品、水産物も含まれ、純然たる農産物では835億円で、農業総産出額のー%にすぎません。しかも、輸出拡大と引き換えに、それをはるかに上回る輸入農産物が国内市場に流入するのは必至です。輸出拡大に日本農業の活路を求めるなど絵空事です。
「経営感覚に優れた担い手の育成」についても、農産物価格の下落の打撃は、政府が期待をかける大規模経営ほど大きくならざるを得ません。北海道の酪農経営はここ数年、将来不安から大規模経営を含めて離農が続出しています。TPPが発効すれば、その事態に拍車がかかり、「意欲ある担い手」どころか、農業が総崩れになるのは必至です。

農政の転換こそ
今日の農業の危機的現状は、政府による抜本的な対策を求めているのは確かです。「政策大綱」が打ち出した肉牛経営安定対策の法制化などは、畜産農家が切実に求めていたものです。それは、TPPと切り離してこそ生きる対策です。
今、わが国の農業になによりも必要な対策は、将来を決定的に奪うTPPからの撤退です。その上で、大多数の家族経営が成り立つ方向への農政の転換です。
価格保障・所得補償の抜本的な充実、新規就農者の確保・育成などに、政府が本腰を入れて取り組むことです。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年12月18日付掲載


今日の農業の危機的現状は、政府による抜本的な対策を求めているのは確か。「政策大綱」が打ち出した肉牛経営安定対策の法制化などは、畜産農家が切実に求めていたもの。
でも、TPPに入るとその対策も、元も子もなくなる。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿