きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

資本主義の病巣 君臨するアマゾン③ 1年通し「夏夏夏春」

2018-08-10 13:02:06 | 経済・産業・中小企業対策など
資本主義の病巣 君臨するアマゾン③ 1年通し「夏夏夏春」
ネット通販大手アマゾンの小田原物流センター(FC)で働いていた大川あきらさんによると、施設内で2人目の死者が出たのは2014年3月でした。倉庫の棚に商品を補充する「ストー」(補充係)の男性がロッカールームで倒れました。
3人目の死者もやはりストーの男性でした。16年6月、4階で夜勤中に緊急搬送されましたが、助かりませんでした。

蒸し風呂状態
「死に至らなくても、熱中症のような症状で人が倒れるのは日常茶飯事でした」。大川さんの目の前で若い男性が卒倒し、青白い顔で手足をけいれんさせたこともありました。
ウェブサイト2ちゃんねる(現5ちゃんねる)の小田原FC掲示板にも「倒れる」という言葉が頻出します。
14年6月20日。「今日倒れた人いたらしいね。また死人出そうだな」。7月2日。「猛烈暑い。熱中症で1日に何人も倒れるのが普通です。一年通しても夏・夏・夏・春です」
16年6月17日。「先日もぶっ倒れて失神したピック(商品採集係=ピッカー)がピクピクしてた。他人事じゃない」。「しょっちゅう救急車来てるし労基(署)入った方がいい」。8月25日。「死んだか知らんけどバッタンバッタン倒れてるよ」
18年3月14日。「アマゾンの夏は死ねる…連日熱中症で人が倒れてる」。3月30日。「まだ4月にも入ってないのに暑すぎ」。6月4日。「中2階みたいなところ36度まで上がるらしいぞ」。「快適に仕事ができる気温にしようという意識がない」
大川さんの経験でも開設後の数年間は施設全体が「蒸し風呂」でした。広すぎて空調は利かず、電気機器と労働者の発する熱と汗が加わり、常夏の高湿度空間となっていました。滝のように汗が滴り落ち、Tシャツばかりかパンツまでびしょぬれになりました。空調が強化された後も蒸し暑さは続き、時間帯や場所によって厳しい暑さになるといいます。



大型トラックが並ぶアマゾン小田原物流センターの背面=神奈川県小田原市内

1日20キロメートル超
さらに過酷なのが長い歩行距離です。
小田原FCは2~5階が倉庫、1階が商品を箱詰めするスペースとトラックヤードという構造です。消費者がインターネットを通じて商品を注文すると、ピッカーが2~5階の倉庫の棚から商品を見つけて台車で運びます。空いた棚にはストーが商品を補充します。
2~5階から送られてきた商品は1階で段ボール箱に詰められ、ベルトコンベヤーでトラックヤードに運ばれます。大川さんは商品の入った段ボール箱を台車に積んで移動し、ベルトコンベヤーに載せる係でした。
アマゾンが「効率化」戦略で巨大施設としたため、小田原FCはあまりに広大です。箱詰めスペースとベルトコンベヤーは遠く離れた位置にあります。大川さんは台車を押してその長距離を往復し続けました。スマートフォンや万歩計など機器の持ち込みは禁じられており、歩行距離や歩数を計測したことはありません。しかし「1日に20キロメートル以上は歩く感覚。3日に1日は休日をとらないと体力が続きませんでした」。
ピッカーやストーも同様の長距離を歩きます。そのうえ商品と台車の重量が足腰に大きな負担となります。
「本や瓶詰などの大量注文が来ると重い段ボール箱になります。量ると60キログラムを超すこともある。段ボール箱を積み重ねた台車は何百キログラムにもなります。それを一人で運ばせるから、ぎっくり腰や疲労骨折で仕事を辞める人が出るのです」
日本法人アマゾンジャパンは本紙の取材に対し、安全を第一にして事故予防の研修や環境改善、適切な温度管理、水やスポーツドリンクの設置、適切な休憩時間の設定を行っていると答えました。
「安全第一で適切だなんて、現場の苦しみに関心がないからいえるんでしょうね」と大川さんは感想を述べています。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年7月31日付掲載


せめて、空調が効いていたらいいのでしょうが、蒸し風呂状態っていうんですから大変ですね。
スマホはともかく、万歩計などの機器の持ち込み禁止ってのはひどいですね。


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