2020年度概算要求の焦点⑥ 社会保障 さらなる「痛み」
厚生労働省の2020年度予算の概算要求は(一般会計総額で19年度当初予算比2・1%増の32兆6234億円です。安倍政権は国民の暮らし応援とは逆に、社会保障費の抑制路線を追求。給付減・負担増の「改革を着実に推進する」(経済財政運営の基本指針『骨太の方針』)として、さらなる痛みを押し付ける構えです。
厚労省は、高齢化などに伴う社会保障費増(自然増)を5300億円としています。現行サービスの維持に必要な費用なのに、安倍政権は13~19年度の7年間で自然増分を1兆7100億円も削減しました。20年度も予算編成過程でさらに削り込む方針です。
19年10月からの消費税増税と引き換えに「誰もが安心して暮らせる全世代型社会保障」をつくると言いますが、実態はどうでしょうか。
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老後“自己責任”
「全世代型」へ高齢者の就労促進策を増額要求していますが、公的年金の実質大幅削減とセットです。自動削減システムのマクロ経済スライドによって、30年ほどかけて国民年金だけで給付水準を約3割も減らす見通しです。安心どころか、“老後の生活は自己責任だ”と強いるもので、高齢者の貧困が深刻化するのは明白です。
安倍政権は、14年度から3回連続で診療報酬(保険医療サービスの公定価格)の実質マイナス改定を強行してきました。20年度の「自然増削減」にも、診療報酬の引き下げ分などをあてるもくろみです。病院の半数が赤字に陥っている(日本病院会などの18年度調査)という実態を顧みず、追い打ちをかけることになります。
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首相官邸に向け「年金返せ」とコールする人たち=6月26日、東京都千代田区
離職ゼロに逆行
安倍政権は「介護離職ゼロ」の目標とは正反対に、20年の通常国会に給付削減と利用者負担増の改悪法案を提出する構えです。▽要介護1・2の人の生活援助サービスを市区町村が裁量で行う「総合事業」に移す「保険給付外し」▽ケアプラン作成の有料化―など具体化を進めています。
介護改悪の次は医療改悪です。75歳以上の患者窓口負担の原則2割への引き上げ―などを狙っています。
医療では、受診時にマイナンバー(個人番号)カードを健康保険証として使えるようにする仕組みを20年度末から本格運用するため、推進策を引き続き要求。個人情報の漏えいなど国民の不安をよそに、カードの普及をなりふり構わず進めようとしています。
保育所の「待機児童ゼロ」目標は20年度末までですが、待機児はなお1万6772人(厚労省調査、4月1日時点)にのぼります。認可園に入れず自治体独自の施設(東京都の認証保育所等)などに入った「隠れ待機児」は、保育士配置基準などを緩和した「企業主導型保育」の利用者を合わせると、18年同日比9000人増で8万人を超えています。
本気で目標を達成するには、安心・安全の認可園の大増設が必要ですが、安倍政権が特に推進しているのは企業主導型保育です。閉園や定員割れが相次いでおり、保育の質や安全性の確保を置き去りにした手法に矛盾が噴き出しています。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2019年9月25日付掲載
「全世代型」社会保障なんて言いながら、高齢者はマクロ経済スライドで年金カット。「介護離職ゼロ」と言いながら、要介護1・2の人の生活援助サービスを市区町村が裁量で行う「総合事業」に移す「保険給付外し」へ。
厚生労働省の2020年度予算の概算要求は(一般会計総額で19年度当初予算比2・1%増の32兆6234億円です。安倍政権は国民の暮らし応援とは逆に、社会保障費の抑制路線を追求。給付減・負担増の「改革を着実に推進する」(経済財政運営の基本指針『骨太の方針』)として、さらなる痛みを押し付ける構えです。
厚労省は、高齢化などに伴う社会保障費増(自然増)を5300億円としています。現行サービスの維持に必要な費用なのに、安倍政権は13~19年度の7年間で自然増分を1兆7100億円も削減しました。20年度も予算編成過程でさらに削り込む方針です。
19年10月からの消費税増税と引き換えに「誰もが安心して暮らせる全世代型社会保障」をつくると言いますが、実態はどうでしょうか。
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老後“自己責任”
「全世代型」へ高齢者の就労促進策を増額要求していますが、公的年金の実質大幅削減とセットです。自動削減システムのマクロ経済スライドによって、30年ほどかけて国民年金だけで給付水準を約3割も減らす見通しです。安心どころか、“老後の生活は自己責任だ”と強いるもので、高齢者の貧困が深刻化するのは明白です。
安倍政権は、14年度から3回連続で診療報酬(保険医療サービスの公定価格)の実質マイナス改定を強行してきました。20年度の「自然増削減」にも、診療報酬の引き下げ分などをあてるもくろみです。病院の半数が赤字に陥っている(日本病院会などの18年度調査)という実態を顧みず、追い打ちをかけることになります。
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首相官邸に向け「年金返せ」とコールする人たち=6月26日、東京都千代田区
離職ゼロに逆行
安倍政権は「介護離職ゼロ」の目標とは正反対に、20年の通常国会に給付削減と利用者負担増の改悪法案を提出する構えです。▽要介護1・2の人の生活援助サービスを市区町村が裁量で行う「総合事業」に移す「保険給付外し」▽ケアプラン作成の有料化―など具体化を進めています。
介護改悪の次は医療改悪です。75歳以上の患者窓口負担の原則2割への引き上げ―などを狙っています。
医療では、受診時にマイナンバー(個人番号)カードを健康保険証として使えるようにする仕組みを20年度末から本格運用するため、推進策を引き続き要求。個人情報の漏えいなど国民の不安をよそに、カードの普及をなりふり構わず進めようとしています。
保育所の「待機児童ゼロ」目標は20年度末までですが、待機児はなお1万6772人(厚労省調査、4月1日時点)にのぼります。認可園に入れず自治体独自の施設(東京都の認証保育所等)などに入った「隠れ待機児」は、保育士配置基準などを緩和した「企業主導型保育」の利用者を合わせると、18年同日比9000人増で8万人を超えています。
本気で目標を達成するには、安心・安全の認可園の大増設が必要ですが、安倍政権が特に推進しているのは企業主導型保育です。閉園や定員割れが相次いでおり、保育の質や安全性の確保を置き去りにした手法に矛盾が噴き出しています。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2019年9月25日付掲載
「全世代型」社会保障なんて言いながら、高齢者はマクロ経済スライドで年金カット。「介護離職ゼロ」と言いながら、要介護1・2の人の生活援助サービスを市区町村が裁量で行う「総合事業」に移す「保険給付外し」へ。
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