2020年度概算要求の焦点③ 農林水産 自給率最低に施策なし
2020年度の農林水産関係の概算要求は、19年度当初予算比18・2%増の2兆7307億円です。公共事業費が21・1%増の8436億円、非公共事業費が16・9%増の1兆8871億円です。
18年度の食料自給率(カロリーベース)は37・33%と、これまで最低だった1993年度の37・37%をも下回り、1960年度(79%)の統計開始以来、史上最低となりました。にもかかわらず、食料自給率の向上に焦点を当てた抜本的な施策はみられません。
「スマート」推進
その一方で、農林水産物・食品の輸出拡大や、「スマート農業」の推進を目玉に据えています。
農林水産物・食品の輸出力強化に19年度当初比約4倍の248億円を要求しました。司令塔となる農林水産物・食品輸出促進本部(仮称)の創設に新規の15億円を計上しました。
ロボット技術や人工知能(AI)を活用するスマート農業総合推進対策事業に19年度当初の約10倍の51億円を要求。無人トラクターやドローン(小型無人機)による実証実験の規模を拡大します。
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「新・農業人フェア」で就農を相談する若者たち=9月8日、東京都豊島区
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次世代投資は減
農業者の減少と高齢化の中で、今、緊急に求められるのは、次世代農業者の育成、就農・経営への支援です。農業人材力強化総合支援事業に19年度当初比28億円増の238億円を要求し、そのうち農業次世代人材投資事業に10億円増の165億円を計上しました。しかし、19年度には20億円も減額されており、差し引きすると、2年前に比べて10億円の減額となります。
米の直接支払い交付金が18年度に廃止された後、代替し得る所得確保の具体策がみられません。主食用米から転作した飼料用米、麦、大豆などを支援する水田活用の直接支払い交付金に19年度当初と同額の3215億円を要求しました。ただし、飼料用米と米粉用米には、販売先と複数年の契約を結ぶことを交付要件とする方針です。
19年度に開始された収入保険制度の実施に19年度当初比27・7%減の149億円を要求しました。保険料や積立金の国庫負担分に充てます。減額は、保険加入者が予想ほど増えていないため。
豚コレラなどの家畜伝染病や、ツマジロクサヨトウなどの病害虫を防止する取り組みを支援する消費・安全対策交付金に19年度当初比2・5倍の50億円、検疫探知犬の増強などアフリカ豚コレラなどの家畜伝染病を水際で防ぐ家畜衛生等総合対策に17・3%増の61億円を要求しました。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2019年9月19日付掲載
18年度の食料自給率(カロリーベース)は37・33%と、これまで最低だった1993年度の37・37%をも下回る。
にもかかわらず、食料自給率の向上に焦点を当てた抜本的な施策はなし。
その一方で、農林水産物・食品の輸出拡大や、「スマート農業」の推進を目玉に。
2020年度の農林水産関係の概算要求は、19年度当初予算比18・2%増の2兆7307億円です。公共事業費が21・1%増の8436億円、非公共事業費が16・9%増の1兆8871億円です。
18年度の食料自給率(カロリーベース)は37・33%と、これまで最低だった1993年度の37・37%をも下回り、1960年度(79%)の統計開始以来、史上最低となりました。にもかかわらず、食料自給率の向上に焦点を当てた抜本的な施策はみられません。
「スマート」推進
その一方で、農林水産物・食品の輸出拡大や、「スマート農業」の推進を目玉に据えています。
農林水産物・食品の輸出力強化に19年度当初比約4倍の248億円を要求しました。司令塔となる農林水産物・食品輸出促進本部(仮称)の創設に新規の15億円を計上しました。
ロボット技術や人工知能(AI)を活用するスマート農業総合推進対策事業に19年度当初の約10倍の51億円を要求。無人トラクターやドローン(小型無人機)による実証実験の規模を拡大します。
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「新・農業人フェア」で就農を相談する若者たち=9月8日、東京都豊島区
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次世代投資は減
農業者の減少と高齢化の中で、今、緊急に求められるのは、次世代農業者の育成、就農・経営への支援です。農業人材力強化総合支援事業に19年度当初比28億円増の238億円を要求し、そのうち農業次世代人材投資事業に10億円増の165億円を計上しました。しかし、19年度には20億円も減額されており、差し引きすると、2年前に比べて10億円の減額となります。
米の直接支払い交付金が18年度に廃止された後、代替し得る所得確保の具体策がみられません。主食用米から転作した飼料用米、麦、大豆などを支援する水田活用の直接支払い交付金に19年度当初と同額の3215億円を要求しました。ただし、飼料用米と米粉用米には、販売先と複数年の契約を結ぶことを交付要件とする方針です。
19年度に開始された収入保険制度の実施に19年度当初比27・7%減の149億円を要求しました。保険料や積立金の国庫負担分に充てます。減額は、保険加入者が予想ほど増えていないため。
豚コレラなどの家畜伝染病や、ツマジロクサヨトウなどの病害虫を防止する取り組みを支援する消費・安全対策交付金に19年度当初比2・5倍の50億円、検疫探知犬の増強などアフリカ豚コレラなどの家畜伝染病を水際で防ぐ家畜衛生等総合対策に17・3%増の61億円を要求しました。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2019年9月19日付掲載
18年度の食料自給率(カロリーベース)は37・33%と、これまで最低だった1993年度の37・37%をも下回る。
にもかかわらず、食料自給率の向上に焦点を当てた抜本的な施策はなし。
その一方で、農林水産物・食品の輸出拡大や、「スマート農業」の推進を目玉に。
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