きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

2023年予算案の焦点④ 中小企業・雇用 低賃金の責任 個人への転嫁

2023-01-26 07:13:54 | 予算・税金・消費税・社会保障など
2023年予算案の焦点④ 中小企業・雇用 低賃金の責任 個人への転嫁
中小企業はコロナ禍で過剰債務を抱えた上、急激な物価高に見舞われ、崖っぷちの経営を迫られています。それにもかかわらず政府全体の中小企業対策費は1704億円と22年度当初予算から9億円も減額されました。軍事費を大幅に増額するのとは対照的です。

支援産業を選択
中小企業向け資金繰り支援策である信用保証協会への補助・出資事業は15億円減の35億円にとどまります。円滑な価格転嫁を後押しする「中小企業取引対策事業」へは24億円しか計上されていません。わずかに増額された3億円分は300人体制へ増強する下請けGメンの人件費などに充てます。他方、強力な検査権限を持つ専任の下請代金検査官の大幅な増員はなく、ぜい弱な体制のままです。
一方、先端技術に特化した「成長型中小企業等研究開発支援事業」には28億円増の133億円を計上。企業の合併・買収(M&A)等を支援する「中小企業活性化・事業承継総合支援事業」には157億円を充てます。成長分野に支援を集中するばかりでなく、現事業を継続できる下支えこそ不可欠です。
雇用の7割を担う中小企業の最低賃金引き上げ支援は既存の「業務改善助成金」を踏襲したにすぎず、予算額はわずか10億円です。22年度補正予算で100億円を充てたものの全体額は削減されました。
物価上昇に見合う賃上げが切望される中、厚生労働省が747億円をかけて推進するのは「賃金上昇を伴う労働移動の円滑化」です。そのうち「労働移動支援助成金」(早期雇い入れ支援コース)へ167億円を計上。11億円だった前年度当初予算から大幅に積み増しました。




賃上げは転職で
岸田文雄政権は「人への投資」を掲げ、5年間で1兆円を「リスキリング(学び直し)」の支援に投じると発表。これを受け厚労省は、学び直しを軸に「成長産業」への労働移動を政策の中心に据えます。目立つのは企業向けの支援策です。
職業訓練を行った企業への「人材開発支援助成金」へ658億円を計上。助成率を引き上げ、新たに「事業展開等リスキリング支援コース」を設けます。出向中の賃金の一部を助成する「産業雇用安定助成金」にはスキルアップ支援コースを新設し、93億円を新規計上しました。
講座受講費などの一部を個人へ支給する「教育訓練給付」には117億円を計上。21億円を増額し、主にデジタル分野の講座を増やします。
低賃金の要因を個人の能力不足と労働市場の硬直化に求め、学び直しを口実に労働者に転職や兼業・副業を促します。労働者個々人が分断され能力主義競争が助長されかねません。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年1月25日付掲載


雇用の7割を担う中小企業の最低賃金引き上げ支援は既存の「業務改善助成金」を踏襲したにすぎず、予算額はわずか10億円。
岸田文雄政権は「人への投資」を掲げ、5年間で1兆円を「リスキリング(学び直し)」の支援に投じると発表。
要するに、賃金をアップして欲しければ、学びなおして転職しなさいってこと。
根本的には、最低賃金を全国で時給1500円へ。それを保障するために、大企業の内部留保に時限的に課税。中小企業の社会保険料負担への援助で実現。
それが一番現実的。

2023年度予算案の焦点③ エネルギー 原発・化石燃料に固執

2023-01-22 07:11:29 | 予算・税金・消費税・社会保障など
2023年度予算案の焦点③ エネルギー 原発・化石燃料に固執
岸田文雄政権は2022年12月、東京電力福島第1原子力発電所事故後の「可能な限り原発依存度を低減する」としてきた政府方針を「原発回帰」へ大転換しました。原発の新規建設推進や60年超の運転を容認。23年度予算案は原発推進を大きく打ち出しました。福島原発事故の教訓も被災地の苦しみも忘れた政策です。


福島第1原発構内におかれているタンク群=2022年1月24日、福島第1原発(代表撮影)

将来的に20兆円
「脱炭素」を口実に原発推進にも使われる新規国債「GX(グリーントランスフォーメーション)経済移行債」(仮称)を発行し、22年度第2次補正予算と23年度予算案で合計1・6兆円を投じ、将来的に20兆円を調達するとしています。
経済産業省は原子力産業の維持・強化や、米仏との高速炉の技術開発の推進を掲げました。新たに「高温ガス炉実証炉」に48億円、「高速炉実証炉」に76億円を計上。「電源立地地域対策交付金」に745億円(22年度比15億円増)、「原子力の安全性向上に資する技術開発事業」に25億円(同2億円増)、原発業界の維持強化のための「原子力産業基盤強化事業」に13億円(同1億円増)を盛り込みました。
文部科学省は破綻した「核燃料サイクルの革新的な研究開発」に107億円(同13億円増)、「『もんじゅ』サイトを活用した新たな試験研究炉」に5億円(同1億円増)などを計上しています。原子力規制委員会は583億円(同6億円減)です。
化石燃料は延命を図っています。経産省は石炭火力に化石燃料由来の水素、アンモニアを混焼させる技術の開発支援として新規の「グリーンイノベーション基金」に4564億円を計上(22年度第2次補正予算でも3000億円計上)。脱炭素に逆行する「次世代火力発電の技術開発」には176億円(同6億円増)をつけ、石炭火力が排出する二酸化炭素を回収・貯留させる「先進的CCS支援」には新規に35億円を盛り込みました。

省エネ関連抑制
一方で、気候危機打開にとって決定的な省エネルギー、再生可能エネルギー関連の予算は抑えられています。
経産省の「先進的省エネ設備への補助金」は、22年度比8億円増の261億円にとどまっています。「需要家主導による太陽光発電導入促進補助金」は22年度比25億円減の105億円、「地熱発電の資源量調査・理解促進事業」も同じく25億円減で102億円となっています。「太陽光発電の導入可能量拡大等に向けた技術開発事業」は22年度比同額の31億円、「洋上風力発電等の導入拡大に向けた研究開発」は22年度比21億円減の45億円となっています。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年1月21日付掲載


「脱炭素」を口実に、いまさら原発に回帰するとは狂気の沙汰です。石炭火力でアンモニアを混合すればCO2排出を減らせるってことですが、そのアンモニアをつくるのにCO2が排出される。
一方で、再生可能エネルギーの普及や省エネルギーへは消極的です。

2023年度予算案の焦点② 農林水産 危機的状況に即応策なし

2023-01-21 07:13:11 | 予算・税金・消費税・社会保障など
2023年度予算案の焦点② 農林水産 危機的状況に即応策なし
2023年度の農林水産関係予算案は、22年度当初予算比94億円減の2兆2683億円です。うち、公共事業費が3億円増の6983億円、非公共事業費が97億円減の1兆5700億円です。また、林野関係が81億円増の3057億円、水産関係が9億円減の1919億円です。
新型コロナウイルスの大流行やウクライナ危機などの影響で、世界の食料不安が顕在化したことを受け、「食料安全保障の確立と農林水産業の持続可能な成長の推進」を掲げてはいます。しかし、従来の施策を踏襲しているだけで、内実が伴っていません。食料安全保障を掲げながら、38%に低迷する食料自給率の向上への本格的取り組みがありません。畜産・酪農や米作の危機的な現状に対しても、即応する施策がみられません。




窮状打開に遠く
畜産・酪農の生産基盤の強化の一環で、畜産・酪農経営安定対策に2265億円を計上しました。22年度当初比31億円の減額です。従来通り所要額を措置したとしていますが、国際価格の上昇や円安の影響などによる資材や飼料の急騰で従来にない困難に見舞われている生産現場にとって、窮状の打開にはほど遠い内容です。なお、飼料穀物備蓄・流通合理化事業には22年度と同額の18億円を計上しました。
新型コロナウイルス禍などによる外食需要の落ち込みで米価が暴落し、食用米からの大規模な転作が求められています。その中で、水田を活用して作付けする麦、大豆、米粉用米などを支援する水田活用直接支払い交付金に2918億円を計上しました。22年度当初比132億円の減額です。減額分のうち、22億円を畑地化促進助成へ、110億円をコメ新市場開拓促進事業へ振り向けました。なお、飼料用米への転作は専用品種への特化を狙っており、一般品種については支援単価を24年度から段階的に引き下げる方向です。

輸出戦略109億円
30年までに5兆円目標の実現を目指す農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略の実施には、22年度当初比1億円増の109億円を計上しました。海外での販売力の強化に1億円減の23億円、輸出産地・事業者育成・展開に同額の7億円、知的財産の管理・保護と海外流出の防止に2億円増の5億円を充てています。
政府は22年12月末、食料安全保障強化政策大綱を決定しました。関連予算の財源は、毎年の予算編成過程で確保するとしました。ただし、23年度予算案には間に合っていません。政策大綱はまた、政府の農政を方向付ける食料・農業・農村基本法の改定案を23年度中に国会へ提出するとし、検討作業を急ぐ意向を示しました。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年1月20日付掲載


ウクライナ侵略をはじめ、世界的な食糧危機が危ぶまれる中、日本の食糧自給率をあげることは喫緊の課題。
それに対する予算はあまりにも不十分です。
円安のもと、農産物輸入額の高騰が続いています。輸出戦略などする前に、もっと足元を見ないといけないよ。

2023年予算案の焦点① 税・財政 米軍事産業奉仕の予算

2023-01-20 07:10:09 | 予算・税金・消費税・社会保障など
2023年予算案の焦点① 税・財政 米軍事産業奉仕の予算
2023年度予算政府案の特徴を主な分野でみていきます。
23年度政府予算案は、岸田文雄政権が掲げる軍事費2倍化実現のために社会保障など国民生活関連予算を削減する「戦争国家づくり」予算です。
国の基本的な予算規模を示す一般会計総額は114兆3812億円と22年度当初予算を6兆7848億円上回り、11年連続で過去最大を更新しました。当初予算が110兆円を超えるのは初めて。
増額が目立つのは軍事費です。翌年度以降に使う「防衛力強化資金」と合わせて10兆円を超えます。23年度分だけでも6兆8219億円と過去最大。米政府の武器輸出制度である有償軍事援助(FMS)に基づく武器輸入に1兆4768億円を計上し、22年度当初予算の約4倍になりました。増額分の4分の3近くが米軍事企業に支出されることになります。米軍事産業奉仕のための軍拡です。
軍拡財源として「歳出改革」のほか、特別会計からの繰入金など税外収入で4兆5919億円を確保。うち1兆2113億円を23年度に支出し、残る3兆3806億円は「防衛力強化資金」として24年度以降の軍事費に充てます。自衛隊の艦船建造や施設整備のために4343億円の建設国債を発行します。




脱炭素も原発に
脱炭素の名目で「GX(グリーントランスフォーメーション)経済移行債」を発行します。次世代革新炉の研究開発支援など原子力発電推進にも用いられます。
社会保障費は36兆8889億円を計上。自然増は4100億円です。概算要求時から1500億円の圧縮。薬価の引き下げなど国民負担で賄います。
政府の裁量で支出できる予備費をコロナ対策として4兆円、ウクライナ情勢経済緊急対応予備費に1兆円計上しました。
国民にマイナンバーカードを押し付けるために、厚生労働省はマイナンバーカードを健康保険証に使える医療機関では、従来の健康保険証で受診した場合、4~12月は窓口負担を引き上げます。総務省は地方自治体ごとのカード交付率を地方交付税の算定に反映させ、交付率が高いほど増額します。

沖縄振興は減額
沖縄振興予算は22年度比5億円減の2679億円を計上。沖縄県側が求める3000億円台を2年連続で下回りました。玉城デニー知事を先頭に辺野古新基地建設に反対する沖縄県への圧力です。
一般会計税収は過去最大の69兆4400億円を見込みます。うち消費税は23兆3840億円。所得税や法人税を超え、4年連続で税収項目で最大となりました。
「税制改正大綱」では軍拡財源として復興特別所得税、法人税、たばこ税の増税を盛り込みました。増税の実施は「24年以降の適切な時期」としました。(つづく)
(9回連載です)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年1月19日付掲載


増額が目立つのは軍事費。翌年度以降に使う「防衛力強化資金」と合わせて10兆円を超えます。23年度分だけでも6兆8219億円と過去最大。
敵基地攻撃能力のために、アメリカの高額兵器を爆買いです。
軍事費の財源として、特別会計からの繰り入れや建設国債の発行など、異例の事態です。

ジェンダーガイドライン ポイント③ 男女間に優劣や上下関係があるかのような扱いをしない

2023-01-19 07:13:08 | 赤旗記事特集
ジェンダーガイドライン ポイント③ 男女間に優劣や上下関係があるかのような扱いをしない


ジェンダーガイドラインのポイント③は「男女間に優劣や上下関係が存在するかのような扱いをしない」です。
新聞ではよく問答形式でニュースを解説します。その場合、男性が説明役で、女性が聞き役となっていることが普通でした。また政治や外交など難しい話は男性が担当し、暮らしの問題などは女性が話すことが当然のようにされてきました。このように、これまで当たり前だった記事のスタイルにも、男女間に優劣がないか、ジェンダー平等の視点で見つめ直していきます。
また男性を「主人」、女性を「夫人」とも書きません。
「主人」とは「自分の仕えている人」のことです。言語学者の遠藤織枝さんによると、新聞紙上では明治時代には「夫」が多く使われていたが、戦後になって「主人」を使う人が多くなったといいます。



『日本国語大辞典』(右)と『暮らしのことば語源辞典』から

日本国語大辞典などをみると「夫人」の「夫」は「扶」のことで「夫を助ける」という意味だとされます。「夫人」とは「夫を助ける人」のことで、平等な関係ではありません。そのため、たとえば「昭恵夫人」ではなく「妻の安倍昭恵氏(さん)」と書くようにします。「しんぶん赤旗」は、言葉の上でも男女を対等な存在として描くことを追求していきます。
(河邑哲也)
(毎週水曜日付に掲載予定です)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年1月18日付掲載


「夫人」という用語ですが、30年以上前、僕が日本共産党の神戸中地区で「しんぶん赤旗」出張所の仕事をしていた時のこと。
発行される領収書の集金者名に「○○夫人」というものが残っていました。
とある支部の人から「私は夫の付属物ではない」「変えてほしい」と指摘されたことがあります。
言われることは当たり前の事。早速「婦人」に変更しました。
「主人」「夫人」はあからさまですが、それ以外にも男女間で優劣、上下関係をつける言葉はあると思います。