2022年01月18日
北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[ロシア国内のスケトウダラH&G卸売価格推移(1月17日) 底を打って回復傾向]
“中国 要件を満たす冷凍運搬船受け入れ再開”
近年、世界のスケトウダラ生産350万トンの内、ロシアが180万トン、米国が150万トンを占めている。
ロシアは洋上でH&G(ドレス)を生産し中国へ輸出、中国が陸上でフィレ加工してEUへ再輸出、米国は日本へすり身として輸出することを、それぞれ仕向けの主流としてきた。
しかし、ロシアについては、新型コロナウイルス拡散防止対策による中国の冷凍水産物輸入制限により、当該貿易は鈍化、今年2021年初めから仕向け構造が大きく変化し始めた。
フィレの最終市場となるEUへ米国が供給を増加させ、ロシアも“投資クオータ”を利用した高次加工漁船と自国陸上加工でフィレを増産し、中国加工を介さない当該市場への直接アクセスを拡大させている。
また、ロシアはこれら製品の国内市場への供給拡大にも取り組みを開始した。
米国から日本へのすり身の輸出価格、中国からEUへのフィレの輸出価格、そしてロシア国内のH&G卸売価格等を監視することで、スケトウダラの国際市場価格を把握することが求められている。
この中にあって、低迷を続けていたロシア国内のH&G卸売価格は底を打ち、86ルーブル/kgとなり、2022年年明け回復傾向が確認された。
中国税関当局が、2022年1月10日から、コンテナ積み替え物流ばかりでなく、要件を満たすロシア冷凍運搬船の水産物製品の受け入れを再開したと伝えられており、ロシア業界のマインドに影響を与えていることが考えられる。
ロシア産スケトウダラH&G(ドレス) 25cmアップ
ウラヂオストク卸売価格(単位:ルーブル/kg)