2022年02月20日
リポート 北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二
[2022年漁期北海道隣接サ州太平洋サケマス戦略会議 環境保護団体の参加は認めない]
2022年2月18日、ユジノサハリンスクにおいて、今漁期の北海道に隣接するサハリン州の太平洋サケマス操業にかかる戦略会議が開催された。
当日の会議には、全ロシア海洋漁業研究所ヴニロ本部、同研究所サハリン支部サフニロ、ロシア漁業庁サハリン・クリール地域管理局、水棲生物資源保護再生産機関”グラヴリヴォド”、FSB、サハリン州政府、業界団体、そして先住民族の代表者らが参加し、太平洋サケマス操業の基本的な原則、漁期設定、そのほか資源の持続的利用、再生産のための規制等について話し合いが行われたが、サハリン州政府が、環境保護団体“Экологической вахты Сахалина”(エコロギチェスコイ・ヴァフテ・サハリナ:サハリン環境ウォッチ)の参加を認めなかったことから、同団体は、これを不適切な対応だと批判している。
地元一般紙(WEB)が伝えた。
“サハリン環境ウォッチ”によると会議は密室で開催され、一部の漁業者の代表だけが参加を許可された。
議論中の漁業戦略草案は、コメントや提案のための公開が行われておらず、行政慣行のすべての規範に反していると指摘している。
また、サハリン州政府が、主催者側からリストされた者でさえ会議に参加させなかったとしている。
“サハリン環境ウォッチ”代表リシツィンは、公式の主催者であるヴニロ・サハリン支部から開催案内を受け取っており、参加者にリストされていたが、州政府庁舎の警備ポイントでせきとめられた。
現場にはヴニロ所長コロンチン、サフニロ支部長コルパコフがいて、参加者リストの確認を受けたが、それでも警備員はリシツィンを通さなかった。
ほどなく、警備ポイントの庁舎入口にサハリン州水産部長ラドチェンコが現れ、警備員にリシツィンの通過は許可されるべきではないと告げた。
“サハリン環境ウォッチ”はこの対応について、“水棲生物資源の保全に関する連邦法”の第2条によって保証されている“水棲生物資源の配分に関する意思決定に参加する市民および公的団体の権利”に前例のない違反だと言及、監督当局への通報を準備しており、サハリン・クリール地域の太平洋サケマス漁業戦略と資源保護に関する多くの深刻な問題について話し合うための公聴会の開催を要求している。
*報告担当者 原口聖二 :“サハリン環境ウォッチ”は、ヴニロ・サハリン支部長から、当人である同団体代表“Дмитрий Лисицын”(ドミトリー・リシツィン)に宛てた署名入り開催案内、そして当人がNo.20にリストされた参加者名簿を画像で“Facebook”にアップしている。