2022年02月25日
リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[ロシアのウクライナ侵攻はスケトウダラ漁業のゲーム・チェンジャーになる可能性がある]
ロシアのスケトウダラ漁業は、洋上でH&G(ドレス)を生産して中国へ輸出、同国がフィレに再加工してヨーロッパ市場向けに製品輸出することで、これまで成立してきたが、新型コロナウイルス拡散防止対策による中国の受け入れの極端な鈍化もあり、“投資クオータ”等を利用し、ここ数年、自国漁船、陸上加工場でフィレ等の高次加工製品を生産して、中国加工を介さず、自ら直接、ヨーロッパ市場へ製品供給することを拡大させている。
しかし、今般のロシアのウクライナ侵攻で、西側諸国の専門家は、ロシア産水産物の輸入禁止が、制裁措置として効果的であると指摘しており、これが発動する時、ロシアの高次加工製品の行先は、極端に限定され、大きな打撃を受ける可能性が高いと言える(原口聖二)。
また、米国アラスカ選出上院議員ダン・サリヴァン(Dan Sullivan)とリサ・マコウスキー(Lisa Murkowski)がロシアからの水産物輸入を禁止するための法案、“米ロ水産物相互主義法”S.3614を提出、全会一致での承認を求めたものの、マサチューセッツ州選出上院議員エドワード・マーキー(Edward Markey)が地元の水産加工業に悪影響を及ぼす等として、これに抵抗を示したが、ロシアのウクライナでの“特別な軍事作戦”により、一気に発動に向け加速する可能性がると米国業界紙も伝えている。