2023年05月20日
北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二
[#28 洋上風力発電と漁業 海外の経験 米国 ロードアイランド漁業者 開発事業者を告訴準備]
日本での先行する欧米の洋上風力発電の漁業分野との共栄、相乗効果等の成功体験は、ほとんどが開発事業者による切り抜き発信で、実際に漁業分野の情報にアクセスしていくと様々な問題が報告されている。
米国北東部ロードアイランド州の漁業者らは、ブロック島南東にあるサウスフォーク風力発電所と呼ばれる12基のタービンをめぐって、米国政府機関や州当局、そして民間開発会社“オーステッド”(Ørsted Offshore North America)らを訴える用意があると明らかにした。
漁業者諮問委員会と個々の漁業者を代表する弁護士マリサ・デソーテルは、“オーステッド”社、ロードアイランド沿岸資源管理評議会、そして海洋エネルギー管理局(BOEM)を相手取って訴訟するという法的通知を、2023年5月10日に関係機関へ送付した。
意向書によると、132メガワットの風力発電所の建設プロセスが合意された計画通りではなく、これを破ったことで、政府機関は洋上風力発電開発を管理する連邦法に違反したことになる。
漁業者らは、“オーステッド”社と共同開発者の“エバーソース・エナジーLLC”(Eversource Energy LLC)が、本土送電網に接続するケーブル敷設について、禁漁区および渡航禁止区域を違法に拡大したと指摘している。
承認 された建設計画では、ケーブルの両側に 500 メートルのバッファーを設定することが求められている。
しかし、伝えられるところによると、2023年4月20日、この地域の漁業者は、“オーステッド”社船舶からケーブルの両側より1.5マイル離れるよう指示されたと述べた。
意向書では、“オーステッド”社による漁業と交通の制限により、漁業者は操業機会を奪われる直接的損害を被ったと指摘、当該損失は想定されておらず、現在の承認の枠組みの下では補償の対象となるか疑問があると言及している。