2023年07月13日
北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二
[#41 洋上風力発電と漁業 海外の経験 米国 NOAA 漁業への影響 事業者らの監視だけでは不十分]
日本での先行する欧米の洋上風力発電の漁業分野との共栄、相乗効果等の成功体験は、ほとんどが開発事業者による切り抜き発信で、実際に漁業分野の情報にアクセスしていくと様々な問題が報告されている。
米国海洋大気庁(NOAA)は、今般、北東部沿岸沖合で計画されている洋上風力発電プロジェクトの漁業への影響評価を目的とする、エネルギー所管官庁と開発事業者が予定しているモニタリング調査が不十分である旨の報告書を提出した。
現在、海洋エネルギー管理局(BOEM)によって、北東部沿岸沖合で3件の洋上風力発電プロジェクトが承認されているほか、ニューイングランド南部からカロライナ州までさまざまな計画段階の案件が存在している。
北東大陸棚における漁業資源の調査は1961年から14の課題項目を設定して行われており、世界で最もよく研究がされた海洋生態系の1つとなったと報告されている。
NOAAは、これらの調査により40魚種以上の資源評価と管理の勧告をしているほか、30種以上の海洋哺乳類、14種の絶滅危惧種の管理を支援していると指摘している。
また、洋上風力発電プロジェクトは、NOAA のあらゆる漁業調査のデータ収集を混乱させ、収集するすべてのデータセットに空間的、時間的なギャップを生み出すことになると言及、これらをリセットして、機能させるために10年以上はかかるとまとめている。(参照図NOAAの春秋のトロール調査区域と洋上風力発電プロジェクト区域)