町のスーパーへ買い物に行った帰りに、師走の高山の町を歩いてきた。
今頃の時期は観光客が少なく、陣屋も宮川に架かる中橋あたりも静かだった。
朝市も漬物用の白菜や赤カブなど、地元の買い物客が中心になっている。
造り酒屋も大きな杉玉や新しいこもかぶりを飾って、新酒や初しぼりを売り物に客を呼んでいた。
路上禁煙の呼びかけに混じって、高山警察が「振り込め詐欺防止キャンペーン」ののぼりを立てて、高齢者と思しき人たちにチラシと小物を配っていた。
若いお巡りさんが近づいて来て、「気を付けて下さい」と言って、チラシと袋をくれた。
一目瞭然、対象者と見られてしまったことに、妙に納得しながら中身を見たら、「貼るカイロ」と「春慶塗の箸」が入っていた。
チラシには詐欺の手口や防止法が、大きな活字で丁寧に書いてあった。
カイロは分からないでもないが、なぜ箸をと思ってチラシを読んだら、振り込め詐欺を「はし」でつまみ出せ、はっきりするまで、しっかり確認!ということだった。
お堅い警察が洒落たことをと思う一方、名古屋では風俗店のお兄さんから声を掛けられて、満更でも無いと思ったりしていたが、今日はチラシを貰って複雑な気分になった。
町へ出て、世知辛い年末の一端を垣間見た。