今日は岩井神社の秋祭りが執り行われた。
小さな集落の祭りは、全戸が総出で行われる。
朝7時に神社に集合して、旗立て、清掃、しめ縄作りなど、手分けして祭りの準備が始まる。
大きな幟が神社とお旅所、集落の入り口3ヶ所に立てられ、本殿やご神木に飾るしめ縄や鯛の飾り物などが藁で作られる。
いずれの作業も手馴れた人たちによって、手際よく進められていく。
祭りの任務も、榊持ちから塩まき、お神輿担ぎ、警護、旗持ち、宮司傘持ちなど28もあり、それぞれが祭り装束で着飾って行われる。
その他に、お囃子、獅子舞、闘鶏楽、舞なども加わるので、過疎高齢化が進む集落で祭りを維持するのは大変なことだ。
年々祭事も簡素化され、踊りの輪も小さくなってきたが、祭りに対する集落の人たちの思いは強く、辛くも伝統の灯は守られている。
今年は、唐櫃担ぎと輪棒の一人二役をやってきた。
唐櫃担ぎは、宮司を迎えに行くときに、神職が使う祝詞などが入った箱を担ぐ役で、輪棒は鉄製の錫杖を手に神職を守る役である。
白と藍染の麻の衣装を纏い、烏帽子を被って神職の前を静々と進んでいく。こんな晴れ姿は長い人生で、度々は経験できないことだ。
本殿で数々の神事が行われた後は、お神輿の乗り移った神様と一緒に、祭り行列を連ねてお旅所へ行く。
ここでも、獅子舞や闘鶏楽、子供たちの浦安の舞や、剣の舞が奉納された後、夕闇迫る中を再び神社に戻って祭りはお開きになる。
秋祭りが終わると、長い冬が足早にやって来る。
豊穣の秋を祝う山里の祭りは、その前の一瞬の賑わいを見せてくれた。