昨夜は東の空に月が煌々と輝き、あたりの森を照らしていた。
今朝も西の空に月が残り、お天気を約束してくれた。
爽やかな秋晴れに恵まれ、兼業農家の人たちは取り入れに大童だ。
先週の休日はお祭りや天気が悪くて出来なかったが、昨日と今日は天気も良く、早朝から稲刈り機のエンジン音が響いてくる。
広い田んぼはコンバインを使って、瞬く間に刈り取っていく。
2条刈りのコンバインは、稲を2列同時に刈り取り、脱穀した籾は袋に詰められ、残った稲は細かく刻まれて田にばら撒かれる。
籾は乾燥機にかけられた後、JAなどに出荷される。
コンバインは、人手が足りない農家にとって強い味方であり、天候を気にしながら「はさ干し」をする手間も省ける。
山里の田んぼは規模が小さいので、1条刈りの手押しバインダーを使う人が多い。
それでも、稲を刈り取り、1把に束ねる作業を同時にしてくれるので、手作業に比べれば数倍の速さだ。
家の前の田んぼも、昨日から取入れが始まり、今日は家族総出でやっていた。
おじいさんが稲架(はさ)を立て、おばあさんがバインダーで刈り取っていく。
息子さんとお嫁さんが稲束を集めてはさに掛け、小さな子供は田んぼを走り回って遊んでいる。
のどかでほほ笑ましい風景もここでは珍しく、大半が高齢者によって山里の米作りは支えられている。
廃田が目立つ中で、次の担い手のいる田んぼは、豊穣の秋にふさわしい取り入れ風景だ。