春に蒔かれた葉タバコが、背丈を越す高さまで成長している。
先週あたりまで咲いていたピンクの花は、葉の生育を良くするため、わき芽とともにすべて摘み取られていた。
ケシもそうだが、毒を持つ花はなぜか可憐できれいだ
これから葉が規定の大きさになった都度、1枚ずつ切り取って乾燥室で干して出荷される。
葉タバコの栽培は、JTと契約した農家だけが種子の交付を受けて育て、乾燥した葉タバコはキロ1.500円から2.000円ほどで全量買い取ってくれる。
以前は多くの農家が栽培していたが、喫煙者の減少や農家の高齢化によって、この集落でも数枚の小さな畑しか残っていない。
昨年のタバコの増税に対する不安や、タバコの煙自体が発癌物質であること、心臓や血管疾患など健康被害が立証されつつあることなども、耕作意欲をなくす原因になっている。
喫煙で命を落とす人は、交通事故死の30倍以上、受動喫煙による死亡リスクは、アスベストの比ではない。
むかしから、タバコの吸殻はマムシの忌避剤に使ったり、水に溶いて防虫剤に利用してきた。
JTは毒性を人に使うのではなく、自然に優しい農薬を開発したり、善良な農家が誇りを持って作れる農作物の提案をすべきである。
国民の健康を犠牲にした辻褄の合わない税収確保のため、今後ともタバコを作り続ければ、いずれ政官業の不作為の罪が問われることになるだろう。