稲の穂孕みが始まって、間もなく出穂の時期を迎える。
それを狙ってイノシシが侵入してくるので、集落ではその対策に大童だ。
集落のあちこちに箱罠が仕掛けられているが、繁殖力の旺盛なイノシシは数を増やし、被害も年々増加している。
主な原因は、温暖化で野生動物繁殖環境が良くなった、猟師の減少、耕作放棄地の増加などと言われている。
自衛手段として、トタンや金網、ナイロンの網などで柵を作って守っているが、最近は電気柵が主流になってきた。
設置に手間が掛からないことと、他の方法に比べると防御効果が優れていることが、普及の理由のようだ。
にわか百姓は数万円の投資を惜しんで、昔ながらのトタンを使って柵作りを早朝から始めた。
鉄パイプや木の杭を2本打ち込み、その間に古トタンを固定していくという根気の要る仕事である。
田んぼの周りをぐるっと囲った後は、要所をトタンを地面に並べていく。
これはイノシシがジャンプする時に、滑って飛び越せないとか、トタンを踏んだときの音を嫌がるとか言われているが、効果の程はよく分からない。
本丸が終わった後は、出丸の固めも怠れない。
獣道の草を刈り、障害物を置いて用心深いイノシシの侵入を防ぐ作戦である。
去年はこの作戦で守り切ったが、電柵のビリビリを嫌ったイノシシ軍団が、トタン城の集中攻撃を仕掛けないか心配だ。