今日の山里は、空気が澄んで爽やかな朝だった。
たわわに稔った稲穂は、日ごとに深く垂れ、黄金色も増してきた。
田んぼの周りや畦の雑草も、知らぬ間に生い茂り、このままでは取り入れ作業の支障になるし、カメムシなど害虫の繁殖場所になってしまう。
山ぎわは葛のつるが垂れ下がり、下から伸びた草と交差している。
稲の生え際やトタンの囲いの側は鎌で刈り、後は一気に草刈機で刈り払う。
刈り取った草は、後で束ねて田んぼの脇に積み上げ、発酵したら田起こしの時に堆肥として漉き込む。
一頃に比べれば草の勢いは衰えてきたが、好天が続いているので伸びるのが早い。
これが最後の草刈りになればありがたいが、取り入れ作業の邪魔になるほど伸びれば、もう一度やらなければならない。
田んぼの中のタベ(ヒエ科の草)は完全に取り尽くしたので、見える範囲では無くなっている。
干してあったタベは、実が乾いて落ち始めたので焼却した。
放置しておくと種を落として蔓延するので、風に飛ばされる前に処分しなければならない。
近所の田んぼで稲より大きく育ったタベを見かけることがあるが、除草剤の量を間違えたか、使った除草剤が耐性を持つようになったのかも知れない。
稲作で一番大変な作業は田の草取りだと言われていたが、除草剤の出現で労力が大幅に軽減された。
少ない人手と高齢者に支えられている稲作は、一部の無農薬にこだわる人を除いて、除草剤無しでは考えられない。
それを前提に行われているので、効かなかった時に抜き取る余力は残っていない。
暇人の作る小さな田んぼは、草取りをする余裕があるので、無農薬栽培が出来る数少ないケースである。