W杯準々決勝、アルゼンチン対オランダも見ていました。オランダは3-5-2の布陣で、相手キーマンを消しながら堅守速攻を狙うチームということはアメリカ戦でわかりました。これに対し、アルゼンチンの出方は注目でしたが、アルゼンチンも負けたら終わりの決勝トーナメントということで慎重な入り方をしており、3-5-2でCBタイプを3枚置き中央の守りを固めてオランダのカウンターを防いできました。
オランダの特徴として、実況で岡田武史元日本代表監督が話していたのは「ポジショナルプレー」です。オランダはスタメンの11人をバランス良く配置して、それぞれのポジションを守りながら組織を作っていくチーム作りでした。これに対し、アルゼンチンはメッシが守備をしない穴をFWのアルバレスやMFのデパウルが必死で走って埋めており、「メッシ以外がハードワークするチーム」との岡田氏のコメントでした。
しかし、守備をしないことを許容するだけの能力をメッシは持っています。メッシはドリブルが有名ですが、マークを外す技術も持っており、あまり走らなくてもフリーになれる観察眼を持っています。それを生かしたのがアルゼンチンの先制点で、メッシが出した絶妙なスルーパスが走り込んでいた右アウトサイドのモリナの足元に出て、これを決めてアルゼンチンに先制点が入ります。岡田氏が「これができるなら守備はしなくていい」とコメントしたほどです。
追加点もアルゼンチンに入りました。ペナルティーエリアギリギリのところで左サイドのアクーニャに対してファウルがあったというVARの結果、アルゼンチンにPKが与えられ、これをメッシが当たり前のようにGKの逆に蹴り込んで2点リードを奪います。しかし、このゲームはこのままでは終わりませんでした。次第にファウルが出る乱戦になり、両チームともにイエローカードが飛び交う展開になります。
もう行くしかないオランダは長身FWウェフホストを投入してパワープレーを狙ってきました。このファンハール監督の手が当たり、83分にウェフホストがアーリークロスを合わせて1点を返すと、ロスタイム11分にオランダボールのFKがまたもウェフホストの前に通って、オランダは土壇場で追いついて延長戦になります。延長戦はその乱戦ぶりが嘘のように落ち着いた展開でPK戦になります。
PK戦では、アルゼンチンの一人目がメッシだったのが大きかったと感じます。ブラジルがネイマールを5人目に温存して失敗しましたが、メッシが一人目で確実に決めたことがアルゼンチンに流れができて、PK戦を4-3で制したアルゼンチンが準決勝進出を決めました。アルゼンチンにとっては本来は延長戦にはしたくなかった試合でしょうが、それでももう少しメッシが見られそうなのは楽しみにしています。
アルゼンチンの途中出場のボランチ、パレデス(左)です。
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