中国が主導するアジアインフラ銀行(AIIB)はスタート早々、「開店休業」となりそうだ。
6月の予定だった最初の融資案件承認が「年内」へ大幅に遅れる見込みとなったのだ。
信用格付けを取得できない事態が尾を引いているとみられ、日米の参加を懇願するしかない状況だ。
「中国は国際的な経済システムの改善を推進する」。
1月16日の開業式典に出席した習近平国家主席は、AIIBを通じて戦後の国際金融秩序に挑戦する構えをみせたが、勇ましい言葉に内実は伴っていない。
初代総裁に就任した金氏は1月17日の記者会見で最初の融資案件の承認は「年内になる」と述べ、今年半ばとしていた従来のスケジュールより遅れる可能性を示唆した。
かねてから問題視されてきたように、AIIBは資金調達の際に発行する債券の格付けを取得できていない。
当面は資本金だけで融資がまかなえるが、初の融資案件を含め、20億ドル(約2340億円)と見込む初年度案件が成功しなければ「習指導部がメンツをかけて関係部門に命じた最上級の『トリプルA』の格付け早期取得は難しい」との見方がある。
金氏は記者会見で「ドアはなお開かれている」と強調、参加を見送っている日米などの誘致を行う考えを示したのも、日米不在のままでは低い格付けしか取得できないためだとみられる。
インフラ案件で「原資をいかに安く調達し、採算性や返済計画をどう詰めるかという国際金融機関の融資ノウハウがまだ何ひとつない」とされるAIIB。「仏作って魂入れず」というのが実情のようだ。
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