1年半ぶりの渋谷だ。
そして、居酒屋放浪記では初となる渋谷である。
バケツをひっくり返したような雨の中、待ち合わせのモヤイ像を目指した。
相変わらず、騒々しくて。
相変わらず、殺伐としていて。
相変わらず、クレージーで。
尾崎豊が愛した街、渋谷。
その街の風景も、もはや取り返しがつかないくらい、愛の消えた街になったような気がする。
少女があぶく銭のために自分を売っていた街角は、尾崎の死後、エリートOLですら何でもやるようになってしまっているらしい。
モヤイ像前で怪鳥と合流。桜丘町のほうへ。
いくらか、雨足は弱まったが、上空では雷が轟いている。歩道橋を上り、振り向けど、この激しい雨の中、当然、歩道橋からは焼け付くような夕日など見えるはずもなく、人々は足元をびっしょりと濡らしながらの早足で歩き続けている。
「17歳の地図」で尾崎が歌った歩道橋はここではない。
「ここから見える夕日がすごいんだ」(落合昇平著 「未成年のまんまで」新潮文庫)。かの歩道橋はファンの間ではすっかり有名になった旧東邦生命ビルの目の前。今晩は雨で霞んでみえないが、宮益坂上にかかる歩道橋で尾崎は幾度となくビルの間に沈みゆく夕日を振り返ったはずである。
歩道橋を渡り、路地裏に。
飲み屋の気配すらもないが、怪鳥はさっさと歩き、小さなビルの中に入っていった。
店はどうやら地下にあるらしい。
怪鳥の後に続き、階段を下りてみてびっくり、やや広めのスペースに人がぎっしり。立錐の余地もない、と言ったら大げさか。しかし、ここは立ち飲み屋。コップと肴を置く場所も確保できないほどの賑わいだ。
ひとまず、入り口にて待つことに。
しっかし、この店の活気といったら何と表現していいか。
とにかく、渋谷のおじさんはこんなところに隠れていたのか。まさに、そう思わせる光景だ。
立ち飲みだから、お客の回転は早い。すぐさま、場所は確保できた。
店はおよそ、60坪くらい。立ち飲みにしては広い。しかし、このスペースにおよそ70から100人近いおじさんたちでごった返しているのである(女性は僅か3人だけが確認できた)。
店内のレイアウトは中央に厨房を配し、その周りをぐるりとカウンターが囲む。
我々に与えられた場所はそのカウンター後方、店の壁沿いにこしらえてある予備カウンターに。
早速、瓶ビールを頼むのだが、カウンターの人垣に阻まれ、店員との意思疎通がなかなか困難だ。
ビールの大瓶を頼む声はかき消され、小瓶の栓が開けられた。
肴はスパゲティサラダにハムカツ、そしてこの店名物の鮪中落ち。これでしめて1380円也。料理ができあがれば、カウンターのお客が中継してくれる。渋谷の町で受ける親切は身と心に深~く沁みいる。
ハムカツは揚げたてそのもの。どうやら、この店、揚げ物や天ぷらは注文を聞いてから揚げるとのことだ。
しかし、200円のハムカツが、こんなにおいしいとは思わなかった。
頭上の14インチテレビではプロ野球の交流戦。ハムカツを食べているのに、試合は北海道日本ハムが負けている。
マウンドにはダルビッシュ有。多分、この若者、ハムカツ知らないだろうなぁ。
労働者風も、サラリーマンも渾然一体となって飲んでいる。一人の客もいればグループもいる。或いは、一人できてもいつもの常連と合流する人もいる。
大人社会のルーズな日常を指して、「一杯の酒に安らぎを求めるというのだろうか」(尾崎豊著 「誰かのクラクション」=角川書店)と尾崎は言った。
だがね、恐らく、ここにいる誰もが、同じように若さにまかせ疾走してきたことだろう。ここにいる名もなきヒーローたちは、何ひとつ語らずに(或いは語ろうとすらしなかっただけなのかもしれないが)、とにかく生きている。そしてとにかく生き続けてきた。一杯の酒に安らぐ権利はある!
尾崎よ、もう少し長く生きていれば、もう少しいろんな意味が分かりかけたのではないか。少しだけ、大人になって、おいらはようやくそう思うようになったよ。
我々は、瓶ビールをもう一本飲み干して店をたった。
使った金額一人千円。
店のすばらしい雰囲気と親切、プライスレス。
その後、豪雨をついて、怪鳥のお家芸である「二軒目中華料理店コース」を行く。
道玄坂南側の飲食街の「長崎飯店」にて、腸詰と瓶ビール。
結局、この日は最後まで瓶ビールで通した。
そしてそして、締めに食べたこのお店の「ちゃんぽん」のうまかったことよ。
会計を済ませて店を出ようとすると、お店のおばちゃんがわざわざ見送ってくれた。
「雨が強いから、お気をつけて」と。
渋谷の町で、優しくしてもらうと、2倍になって心に響いてくる。
きっとセンター街を歩く小僧らには、このプライスレスの意味は分からないだろうな。
そして、居酒屋放浪記では初となる渋谷である。
バケツをひっくり返したような雨の中、待ち合わせのモヤイ像を目指した。
相変わらず、騒々しくて。
相変わらず、殺伐としていて。
相変わらず、クレージーで。
尾崎豊が愛した街、渋谷。
その街の風景も、もはや取り返しがつかないくらい、愛の消えた街になったような気がする。
少女があぶく銭のために自分を売っていた街角は、尾崎の死後、エリートOLですら何でもやるようになってしまっているらしい。
モヤイ像前で怪鳥と合流。桜丘町のほうへ。
いくらか、雨足は弱まったが、上空では雷が轟いている。歩道橋を上り、振り向けど、この激しい雨の中、当然、歩道橋からは焼け付くような夕日など見えるはずもなく、人々は足元をびっしょりと濡らしながらの早足で歩き続けている。
「17歳の地図」で尾崎が歌った歩道橋はここではない。
「ここから見える夕日がすごいんだ」(落合昇平著 「未成年のまんまで」新潮文庫)。かの歩道橋はファンの間ではすっかり有名になった旧東邦生命ビルの目の前。今晩は雨で霞んでみえないが、宮益坂上にかかる歩道橋で尾崎は幾度となくビルの間に沈みゆく夕日を振り返ったはずである。
歩道橋を渡り、路地裏に。
飲み屋の気配すらもないが、怪鳥はさっさと歩き、小さなビルの中に入っていった。
店はどうやら地下にあるらしい。
怪鳥の後に続き、階段を下りてみてびっくり、やや広めのスペースに人がぎっしり。立錐の余地もない、と言ったら大げさか。しかし、ここは立ち飲み屋。コップと肴を置く場所も確保できないほどの賑わいだ。
ひとまず、入り口にて待つことに。
しっかし、この店の活気といったら何と表現していいか。
とにかく、渋谷のおじさんはこんなところに隠れていたのか。まさに、そう思わせる光景だ。
立ち飲みだから、お客の回転は早い。すぐさま、場所は確保できた。
店はおよそ、60坪くらい。立ち飲みにしては広い。しかし、このスペースにおよそ70から100人近いおじさんたちでごった返しているのである(女性は僅か3人だけが確認できた)。
店内のレイアウトは中央に厨房を配し、その周りをぐるりとカウンターが囲む。
我々に与えられた場所はそのカウンター後方、店の壁沿いにこしらえてある予備カウンターに。
早速、瓶ビールを頼むのだが、カウンターの人垣に阻まれ、店員との意思疎通がなかなか困難だ。
ビールの大瓶を頼む声はかき消され、小瓶の栓が開けられた。
肴はスパゲティサラダにハムカツ、そしてこの店名物の鮪中落ち。これでしめて1380円也。料理ができあがれば、カウンターのお客が中継してくれる。渋谷の町で受ける親切は身と心に深~く沁みいる。
ハムカツは揚げたてそのもの。どうやら、この店、揚げ物や天ぷらは注文を聞いてから揚げるとのことだ。
しかし、200円のハムカツが、こんなにおいしいとは思わなかった。
頭上の14インチテレビではプロ野球の交流戦。ハムカツを食べているのに、試合は北海道日本ハムが負けている。
マウンドにはダルビッシュ有。多分、この若者、ハムカツ知らないだろうなぁ。
労働者風も、サラリーマンも渾然一体となって飲んでいる。一人の客もいればグループもいる。或いは、一人できてもいつもの常連と合流する人もいる。
大人社会のルーズな日常を指して、「一杯の酒に安らぎを求めるというのだろうか」(尾崎豊著 「誰かのクラクション」=角川書店)と尾崎は言った。
だがね、恐らく、ここにいる誰もが、同じように若さにまかせ疾走してきたことだろう。ここにいる名もなきヒーローたちは、何ひとつ語らずに(或いは語ろうとすらしなかっただけなのかもしれないが)、とにかく生きている。そしてとにかく生き続けてきた。一杯の酒に安らぐ権利はある!
尾崎よ、もう少し長く生きていれば、もう少しいろんな意味が分かりかけたのではないか。少しだけ、大人になって、おいらはようやくそう思うようになったよ。
我々は、瓶ビールをもう一本飲み干して店をたった。
使った金額一人千円。
店のすばらしい雰囲気と親切、プライスレス。
その後、豪雨をついて、怪鳥のお家芸である「二軒目中華料理店コース」を行く。
道玄坂南側の飲食街の「長崎飯店」にて、腸詰と瓶ビール。
結局、この日は最後まで瓶ビールで通した。
そしてそして、締めに食べたこのお店の「ちゃんぽん」のうまかったことよ。
会計を済ませて店を出ようとすると、お店のおばちゃんがわざわざ見送ってくれた。
「雨が強いから、お気をつけて」と。
渋谷の町で、優しくしてもらうと、2倍になって心に響いてくる。
きっとセンター街を歩く小僧らには、このプライスレスの意味は分からないだろうな。
丸くなったのか。それとも、妥協しているのか。
17歳の自分が今の自分を見て、果たして何と思うことやら。
しかも、お互い、人の親になったし、これからも変わり続けていくことでしょう。
しかし、そんなに中年の哀愁漂ってる?
それってけっこうショックだなぁ。
あの楽しさはやっている人にしか分からないよね、きっと。
居酒屋の活気は店員さんが刻む仕事のリズムにあるように思います。
ところで、6月7日の次回ホピ研を6日か8日にずらせない?
水曜は今pが駄目なんで・・・。
今回は今pにも是非ご参加を!
場所は山城屋本店です!
(駄目なら、みたかや酒場にでも)
が、暫定の予定で9日〆切の仕事があるんで、参加確定出来ないかも。
明日打ち合わせなんで確認してきます~。
集合場所は都営新宿線住吉駅。
時間はその日に確認です。
山城屋酒場もお客捌きの素晴らしさは秀逸。2年連続でアワード獲得するか。注目ですね。
怪鳥とは初の城東地区になりますな。
しっかり、ここは今p、ホームグラウンド。地の利を活かしていじめてやりましょう!!
時代は知らない間に刻一刻と変わっているんだな。
て、いうことは、地の利を活かせず・・・か。
も、もしや、ホーム&アウェーではなく、初のダービー戦だったりしてっ!
〆切は一週間延びたけど「8か9辺りで一回出力しましょうか」とか言われてしもた。
夜は大丈夫だと思うんやけどねー。
僕にとっては住吉駅と言えば半蔵門線です。都営線に乗ろうと思いつつ、条件反射?で半蔵門線に乗ってしまった事が過去に二回・・・。