家に帰る時間がもったいなくて、前橋から高崎で下車した。高崎は6年ぶりだが、駅の外に出るのは十数年ぶり。その駅を出るとコンコースになにやら不思議な展示物があった。
石碑である。
しかも三つもの石碑がコンコースに鎮座する。異様な光景である。
近寄って説明文を読んでみる。
この石碑、どうやら上野三碑というらしい。驚くことに、それらは飛鳥時代から奈良時代にかけて建碑されたという。そうした古代の石碑は国内に18例しかなく、そのうちの3碑が高崎市内にあるとのこと。しかもその石碑群はユネスコの世界の記憶に登録されているらしい。
すごくないか、高崎。
もちろん、本物ではない。展示されていたのはレプリカである。石碑にレプリカがあることにも驚く。世の中、知らないことが多すぎる。
時間がないから、つぶさに鑑賞することは困難で、そのうちの一つ、「多胡碑」に注目してみることにした。その碑、多胡郡という地の建郡を記録するために建てられたという。
笠石が乗った石柱のような碑身で、牛伏砂岩という石で作られているという。別名、多胡石というらしい。碑文は漢文で刻まれ、要は朝廷からの命令で多胡郡を建て、その支配は羊に任せるというもの。羊が人名を指すのか、それとも方角を示しているのか、議論が分かれているようだ。もしかすると、人ではなく本物の羊だったりはしないのだろうか。
その多胡郡は当時、渡来人による先進的な手工業が盛んな地域だったらしく、朝廷からも一目置かれていたのではないかと碑の説明文にはある。
やはり、高崎はすごかったのだ。
数年前、群馬県知事が都道府県魅力度ランキングに噛みついたことがある。大人気ねーよ、とっつぁん坊やと思った。噛みつくくらいなら、面白いことの一つくらい言ってはどうかと思った。かつての鳥取県知事みたいに。若しくは、この多胡碑のようにほとんど知られていない魅力をアピールするとか。
今回の高崎駅コンコースで展示された上野三碑はいい機会になったと思う。少なくとも、自分はその石碑群に驚いたし、高崎は侮れないと本気で思った。
肝心の本物の多胡碑は現在修復中だという。いつか修復が終わったら、現地で本物を是非拝んでみたいと思う。
すごくないか、高崎。
前の記事に因んで。群馬は肉と粉と野菜の国です。刺身や魚を全く扱わない居酒屋もありますが、取り扱ってる居酒屋のネタは予想以上にGOODだったりします。
「肉なんか普段、家で食べてるし、魚を扱う以上はちゃんとしたのを置かないと潰れかねないんです」(現地の居酒屋主人)
現地というのはレプリカではなく、本物を見に行かれたのですか?
朝廷の詔勅が書かれていますね。公文書なんだと思います。
群馬の酒場の魚に対する思いには覚悟があるんですね。いつか、「梅ふく」さん行ってみたいです。あと5年ですもんね。
多胡碑ともうひとつは見てません。レプリカで充分だと思いますよ。
現地に多胡姓の社員がいますね。
「梅ふく」の刺身は美味しいのですが、何せ店主が酔っ払いでして。
でもシラフの早い時間に行ってもちっともオモシろくないんですよねぇ。
5年を切りました。
実はこの高崎巡りで「梅ふく」さんの前を通り過ぎています。時間が早すぎて営っていませんでした。
酒場の醍醐味はいろんな人に会えること。「梅ふく」さんの大将に興味津々です。