喫茶さすらい 138 - ガラガラ - 「Eggs ’n Things Coffee 高崎OPA店」（高崎市八島町）

高崎駅を出て、さてWi-Fiの繋がる喫茶店を探さなければならない。駅前ビルの上に行けばなんとかなりそうだなと入口に近づくと、目の前に「Eggs ’n Things」があった。店内をうかがうと、お客さんの姿が見えない。なに？　ワイキキのお店も、みなとみらいも、この店舗は見る度にだいたい長蛇の列をなしているのに。店内がガラガラとは！　これは面白い。Wi-Fiも使えそうだし、入ってみようか。

ワイキキはさておき、国内の「Eggs ’n Things」は恐らく、サービスもフードも同じではないだろうか。それならばみなとみらいや原宿の店舗と高崎で何が違うのだろうか。人口密度か、それともブランドを崇拝しないグンマーのプライドなのか。はたまた「Eggs ’n Things」自体を知らないのか。

店内に、お客さんはいるにはいた。2,3人。でも、ほぼガラガラといっていい。レジで、メニューカードのコーヒーを指して、「これ」と言って注文した。若い男性の店員は、聞き取れないか細い声で、何かを言った。注文の確認だと思い、「うん」と返した。また同じような口調で何かを発した。何を言っているのか分からない。注文が伝わっていないのか。ならばと「アイス」と言った。もちろんアイスコーヒーのことである。すると彼は「はい？」と聞き返した。どうやら日本語を喋るらしい。もう一度、少し声量を上げて、「アイス」と言った。すると、彼は困った顔をした。自分も困った。何故通じないのか。仕方ない。ちゃんとした日本語を喋ろう。

「アイスコーヒーをください」。

すると、彼は急に晴れ晴れしい顔になり、「アイスコーヒーですね」と言った。日本語はネイティブに聞こえたが、何故今まで通じなかったのか。これも群馬マジックなのか。

アイスコーヒーを受け取り、テーブルに陣取った。さぁ、仕事開始だ。

「Eggs ’n Things」といえば、パンケーキである。山盛りのクリームがのった名物で、原宿やみなとみらいの店舗に並ぶ女子のほとんどが、このパンケーキが目当てである。自分も市場は食べてみたいと思っているが、今日は食べられない。小一時間前に「海鮮丼」を食べたし、この後は高崎のどこかで酒を飲む。高カロリーなパンケーキを食べたら、一発で血糖値がだだ上がりである。ただ、このチャンスを逃したら、きっと二度と「Eggs ’n Things」のパンケーキを食べる機会は訪れないかもしれない。要するに並びたくないのだ。

アイスコーヒーは爽やかだった。恐らくコナのアイスだろう。冷たいから、コーヒー特有の甘味がほのかにたちのぼる。

なんだか周囲の様子が気になって、仕事に集中できない。

それでも入店から小一時間ほどで原稿は書きあがった。後はもう店を変えてから内校しようか。時刻は15時前。そろそろ高崎の酒場を探すか。