立ち飲みラリー・東西線編の下り東行き。
ボクは懸案だった「づめかん」に着いた。前回、と言っても、遡ること数か月前。「づめかん」を訪れたら、開店の16時を過ぎているにも関わらず、店は開いていなかった。
店はボロい雑居ビルの2階にあった。そのボロい階段を昇ると、更にボロい扉があって、その向こうが「づめかん」の西船橋店だった。
千葉県に入ってからというもの。立ち飲みラリー東西線編は「づめかん」との格闘だった。
浦安にはじまり、行徳、原木中山、そして西船橋。
むしろ、「づめかん」がなかったら、立ち飲みラリー東西線編は成立していなかったかもしれない。
「づめかん」が勃興しはじめたのは3年ほど前だったろうか。
当時、東葛エリアは「くら」という立ち飲みが領土を拡大していた。小岩の地蔵通り店から、北口側の店舗。そして新小岩。この3店舗はすでに行ったが、どうやら亀戸にも店舗があるらしい。「くら」はチケット制であるが、この界隈でチケット制の祖がある。「でかんしょ」という立ち飲みだ。「でかんしょ」は新小岩に店舗があるとともに、多店舗展開を図っている。池袋と巣鴨だ。
「でかんしょ」はともかくとして、この東葛地域の一大勢力「くら」に対抗したのが「づめかん」だった。
「づめかん」は葛南地域を一気に制した。
先述した東西線沿線をアッというまに抑えたのだ。その出店のスピードの速さに、ボクは一瞬驚いたほどだった。
その後、店舗は本八幡を抑える一方で、旧江戸川を渡り、門前仲町、そして葛西も手中にする。一瞬、立ち飲みの最大チェーン「立ち飲み 日高」を凌駕する、FCに名乗り出る可能性すら感じた。
けれど、その勢いも失速した。
考えられることはふたつ。
ひとつは酒マーケットの縮小。そしてもうひとつがスタッフの確保だ。とりわけ、後者の方が飲食店には深刻であろう。
1年前、急速に店舗数を伸ばした、立ち飲み「晩杯屋」。
飛ぶ鳥を落とす勢いで店舗を増やしたが、この半年でその勢いは止まった。恐らく、人材の確保ができないのだろう。過日、「新橋①」店に行った際(居酒屋さすらい未収録)、店長がこぼしていた。
「人が集まらなくてね。この後来る中国のアルバイトの子は今日が初めてだし」。
随分と人材の確保に四苦八苦している様子がうかがえた。今、飲食店は働くスタッフの確保に躍起である。
前置きが長くなったが、群雄割拠する東葛及び葛南の立ち飲み国盗り物語は今、ヒートアップの季節から、小休止の期間になった。
飲食店にとって、難しい時代である。
「づめかん 西船橋店」の話しに戻ろう。
ボクが店に入った16時の開店時、店員さんはワンオペだった。
もっとも、客はボクしかいなく、店員が2人いる必要は全くなかったのだが、それでもそのワンオペの店員はあまり気を回してくれないスタッフだった。
いつもどおり、200円の「酎ハイ」をオーダーし、100円のあてを物色した。
100円のあては、黒板に書かれており、例えばこの日は「めざし」に「油揚ぎょうざ」などがあった。
ボクは、その両者を頼み、テレビを見ながら待ったが、そのあてがなかなか出てこない。そうこうしているうちに、「酎ハイ」を飲み干してしまい、「酎ハイおかわりね」とオーダーするのだが、今度は肴を用意するのに忙しく、飲み物のオーダーに対応してくれない。
これは困ったことになった。
まさにワンオペの弊害である。だが、この店員が悪いわけじゃない。
多分、本部のシフトの組み方に問題がある。
200円の「酎ハイ」も氷がいっぱいで、中身はほとんど入っていなかった。
以前の「づめかん」では「酎ハイ」が150円だった。その当時は適正な価格だったと感じていた。要するに、150円ならば、この量でもいいかなと。けれど、それが200円に値上げされた途端、そうは思えなくなった。
200円で、この量はないだろうと。
どうも、「づめかん」には無理が生じているらしい。
コストカットの代償は、サービスの低下を招き、その結果スタッフはやりがいをなくし、それが更にサービスの低下を招く、負のスパイラルに陥っている。
大丈夫なのだろうか。
ボクは結局、酎ハイを2杯飲み、先述した「油揚餃子」の他、串焼きを2本注文して店を出た。
支払い金額900円弱。
満足にはほど遠い。
一時は急速に拡大した「づめかん」だが、その経営は非常に危ういと感じている。
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