急遽、取材が決まり、新潟まで行くことになる。もう、〆切間近、チェックの時間を考えたら、かなりリスクのある取材だ。いや、それよりも、大事な大事なクライマックスシリーズの真っ只中にテレビのない環境に行きたくない。
取材が終わると、時刻は18時過ぎ。広島はもうプレイボールがかかっているはず。どこか、野球が観られる店に行かねば。
知らない街に行くと、ボクはまず立ち飲みを探す。だが、この時は違った。立ち飲みを探しつつ、テレビで野球がやっている店を探した。スポーツバーがあれば、話しは早い。だが、新潟駅周囲を探しても、立ち飲みもスポーツバーも見つからなかった。
それならもう、賭けるしかない。テレビがありそうな店に入る。野球がやってたらラッキーだ。ボクは、もっとも俗っぽい店を探した。すると、看板がごてごてと幾つも掲げられ、独禁法に触れそうなキャッチコピーのお店を見つけた。
「割烹 河童」。
すごい店名。ガリレオガリレイみたいな。
割烹といっても、威厳はなく、とりわけ東京からの出張サラリーマンをターゲットにした店なら、テレビがあって、野球もやっているだろうと考えて、ボクは店に入った。
だが、ボクの期待は儚くも消えた。野球どころか、テレビもなかった。
仕方ない。スマホでスポーツナビの1球中継で応援するか。
店内は、一応割烹らしかった。分厚い一枚板のカウンターの向こうは板さんが、それぞれの持ち場で調理している。
まずは酒だ。
さすが、新潟。銘酒がごまんとある。その数14種。嬉しいことに利き酒セットがあり、それが4種類も利き酒ができるのだ。
ボクは利き酒はせず、どっしりとひとつの酒に集中したい。その銘柄は「麒麟山」。もうこれしかない。新潟に来たらこれ。
そしてつまみには、新潟名物、冷たい「のっぺい煮」(700円)。里芋や人参などのごった煮である。里芋のねっとり感とみりんの甘さが、素朴で優しい味を醸し出している。
「のっぺい煮」の甘さにきりっと辛口の「麒麟山」がうまい!
地元の酒と肴があれば、幸せだ。
店はやはり出張組サラリーマンの溜まり場だった。意外に店は混んでいる。
商売根性丸出しで、ともすると嫌みな嫌らしい雰囲気になりそうな店なのだが、すんでのところで、かろうじて止まっている。
そして、割烹というだけあり、料理は高い。
さて、野球もやってないことだし、次の店に向かうか。この店は、ちょっと高すぎる。
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