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居酒屋さすらい 0668 - 驚愕の家系もつ煮 - 「もつ家 本店」(東村山市秋津町)

2013-08-13 09:50:51 | 居酒屋さすらい ◆立ち飲み屋
もはや駅を降りた瞬間に圧倒された。
何なんだ。この存在感。いや、暑苦しさ。
くどい。「煮こみ」と大書された看板が店頭にこれでもかと言わんばかりにかけられている。
「よし、やってやろうじゃん」。
そんな気概にさせてくれる。

だが、店頭からはもはや人がはみ出し、店内をうかがうと細長い店にびっしりと人が埋め尽くされているのがみえる。
ここでひるんではいけない。
「入れる?」と店のおばちゃんに大声で声を掛けると、「一人なら入れるわよ」と返ってきた。
ボクは頷き、カウンターだけの狭い店内を、人をかきわけ、ようやく猫の額ほどのスペースに辿りついた。

土曜の昼下がり。
いくら世間は盆休みに入ったとはいえ、この鮨詰め状態は何なんだ。
真っ昼間っから。
しかしながら、昼過ぎにオヤジ達が立って酒を飲む光景はやはり異様だ。

「ビールと『煮こみ』ちょうだい」
挑戦的にボクも憮然として言った。
しかし、おばちゃんもまた挑発的に「あいよ」と返してきた。

これはあとで聞いた話だが、この店のおばちゃんは、都下の立ち飲み界ではあまりにも有名な女傑だという。
その客あしらいは、時にはお客の反感を買うらしいが、それでも約30人の客を一手に相手するにはそれだけの胆力を持ち合わせていなければやっていけないのだろう。
舌鋒鋭い、そのおばちゃんの一言はクダを巻くオヤジを一撃のうちに黙らせる力すら持つという。

大鍋の「もつ煮」(350円)がすくいとられ、目の前に運ばれた。
思わず嘆息してしまいそうな「煮込み」。木のお椀に注がれた豪快であり、そして繊細である「もつ煮」。
「さすが」と言わざるをえない。
スープは透明なそれ。あくが残っているのは気になるが、澄みきったスープにおおぶりのもつがゴロゴロ転がっているのが見える。
もつはシロのみだが、このボリュームは感動的ですらある。
久々に出会った「自分三大煮こみ」に匹敵する逸品だ。
塩スープはあっさり系。知らず知らずのうちにお椀を持ち上げ、ついついはしたなく「もつ煮」をかき込んでしまった。
「やってやろうじゃん」と意気込んでみたものの、やられてしまったのは自分。見事なカウンターだった。

さて、何気なしに、ほぼ反射的にといっていいだろう。ついつい「ポテトサラダ」(150円)を頼んでみた。
「煮こみ」と「ポテサラ」でその店のレベルはだいたい分かるからだ。
このオーダーのタイミングが非常に難しい。
なにしろ約30人の客から、ひっきりなしにオーダーが入るからだ。

しかし、出てきたポテサラは恐らく業務用のものであろう。
味も素っ気なく、拍子抜けした。
実に不思議な店である。
「煮こみ」は最上級なのに、ポテサラは最下級。
実に惜しいと言わざるをえない。

最後にチューハイを頼み、店を出た。
秋津に降りて、のっけから凄まじい店と相対した。
かつて花小金井に住んでいたころ、何回か乗り換えで秋津に降りたものだが、まさかここに立ち飲みの文化が脈々と育まれていたなんて当時は想像もできなかった。
いきなり、凄まじいところに来てしまった。
そんな気持ちを抱えながら、秋津の本丸「野島」へと向かったのだった。
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