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居酒屋放浪記 0341 - 出張組の大人気店 - 「お好み焼き ゆうゆう」(広島市南区大須賀町)

2010-05-18 01:41:21 | 居酒屋さすらい ◆地方版
 新幹線の車窓には雨に煙った「MAZDA ZOOM ZOOM スタジアム」。
 もし、この日試合があったら、わたしは悔やんでも悔やみきれない。
 だが、あいにくこの日は試合が組まれていなかった。

 廿日市市へ取材に。
 だが、宮内串戸という駅の周囲には店もなく、わたしは取材を終えると、その足で広島に戻ってから一杯飲むことにした。

 わたしに与えられた時間は1時間強。
 1時間後には新幹線で帰京しなければならない。
 しかもまだ17時前ということで、広島駅近辺を少し歩いたが、居酒屋はまだ開店前だ。

 少し歩くとガード下に広島のお好み焼き屋さん。
 「神はわたしに味方した」と思いながら店に入った。

 あの大きな鉄板が目の前に。そこを囲むようにカウンター。店の隅っこは小上がり。店は広く多くのお客さんが詰め掛けるのだろう。

 わたしは、カウンターに座っておbあちゃんにビールを頼む。
 生ビールは「一番搾り」。
 イチが不適な笑いを投げかける。

 まずは広島名物「かきバター」を頼む。
 広島に来たからには「牡蠣」を食べなければいけない。
 「R」の月だから、思う存分堪能せよ、という指令が、その神から発せられる。

 だが、この「かきバター」が1,000円もする代物。
 わたくし熊猫、だいぶ奮発した。

 しかし、しかし奮発した甲斐があった。
 なにしろ、これがほんとうまかった。
 身の引き締まり方は素材がいいのだろう。焼く技術はよく分からないが、手練なおばちゃんの手さばきは見ていて気持ちがいい。

 「カープの選手は来るんですか」。
 わたしが、一番絞りを片手に質問すると、おばちゃんは首を振りながら「皆お好み村のほうに行っちゃうね」とポツリ。
 だが、次の言葉が面白かった。
 「こないだね、ジョニー黒木さんが来てくれたの」。
 ほう、ジョニーがね。
 店内を見回すと、けっこう有名人の色紙が飾られている。
 そして、おばちゃんは続ける。
 「ウチはね、そばが違うのよ」。
と言う。何がどう違うのか、何の説明もない。
「食べてみれば分かるわよ」という。

 それならと思い、「豚玉」のそば(600円)を頼んだ。
 「もやしもね、東京のとは違うのよ」。
 本当だ。成田のもやしを見て食べて育ったわたしには、その違いは歴然だった。
 もやしが細いのだ。

 生ビールを飲み干して、酎ハイを頼んだ。
 広島の人はプレーンの酎ハイを知らない。
 それは去年、ラスト広島市民球場を訪ねた際に寄った「酒呑童子」で確かそう言っていた記憶がある。案の定、このおばちゃんも知らず、説明を要したが、しっかりと酎ハイを作ってもらった。

 さて、出来上がった「豚玉」そばをハフハフしながら食べてみた。
 うまい!シャキシャキのもやしがいい。そして、そばも弾力があり、腰が強い。これが本場の味か!
 よく考えるとわたしは、これまで広島風お好み焼きは浦安にある「純平」でしか食べたことがない。本場、広島は初めてである。そして、こんなにうまいものなのかと改めて感じる。
 その証拠にアッと言う間に平らげてしまった。
 酎ハイをお代わりしたのは、この「豚玉」と抜群の相性だったからだ。

 メニューを何気なしに見ると、「もつ煮込み」「油揚げのカレーピザ」(380円)、「栗のフライ」(100円)なんて珍しいものもある。

 しかし「栗のフライ」だなんて、強い皮肉が込められているようだ。
 カープの若き4番打者に対して。

 酎ハイを飲み干して、店を辞した。
 店には出張組の常連さんがけっこうおられるとのこと。
 広島出張の度に同店を訪れるファンが少なくないようなのだ。
 わたしもその一員に加えさせてもらおうか。
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