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お風呂さすらい75 「椿の湯」(青森市浅虫内野)

2017-02-15 20:06:01 | お風呂さすらい

浅虫温泉では「椿館」という老舗の旅館に宿泊した。

随分と歴史のある宿で、世界の版画家(板画家)、棟方志功氏ゆかりの旅館であるという。宿の壁にはおじさんの巨大なねぶたが飾られている。多分、棟方氏であろう。

「温泉たまご場」で作った、温泉たまごを部屋に持ち帰り、部屋で一杯飲った。温泉たまごが実によく出来ていて、思わず感動した。

 

夕食前に、ひと風呂浴びようと一階の浴場に向かった。フロント前から、伸びる回廊には、棟方志功氏の仕事風景の写真が飾られていた。恐らく、この「椿館」で撮影されたものだろう。

 

同館のホームページによると、「椿館」には9つの源泉が沸いているという。かつては庭園内にある椿の木の根元から、お湯が涌き出ていたらしく、そこから「椿の湯」と命名されたようだ。

 

泉質、低張性弱アルカリ性高温泉の単純温泉。特にナトリウムイオン、カルシウムイオン、硫酸イオンなどが多く含まれているという。


そんなに広くない浴場だが、ムードは抜群だった。とりわけ、露天が素晴らしかった。夕方は、ひぐらしの寂しげな鳴き声が聞こえ、北の短い夏の儚さを感じさせた。けれど、もっとも趣深いのが、早朝のひと風呂だった。

しんと静まりかえった朝に、湯気が立ち込める、露天の岩風呂。そろりと足をつけて、湯につかる。

「いいあんべぇだ」。

つい、父の言葉が口に出る。

凛としまった朝の空気に、湯が流れ出る音だけがする。

「いいあんべぇだ」。

また、同じ言葉を呟く。

木漏れ日のような薄い朝陽が、木々の隙間から微かに射してくる。ボクが抱えてるものは何もない。これから神経をすり減らす仕事が待っているわけでもなく、昼ごはんの買い物にも出かけなくていい。

温泉旅館の醍醐味は朝だ。

この解放感で、高い宿泊料が精算される。

 

露天風呂に「観音岩」なる、ご利益がありそうな石があった。どう見ても、観音様はボクの前に現れなかった。ブッディストとして、まだまだなのだろう。

 

中庭に源泉が涌き出る井戸を見つけた。

ここも、温泉たまご場である。

 

落ち着けるいい宿。

また、来年もよろしくお願いいたします。

 

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2 コメント

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温泉地は (ふらいんぐふりーまん)
2017-02-20 22:54:51
宿の温泉も、公共の温泉も、いずれもいいもんだねえ。
特に、ひなびたところにあるやつは・・・。
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Unknown (熊猫)
2017-02-21 09:17:02
テレビや雑誌に載る観光地やスポットに人が集まり、ひなびたところは更にひなびていく、二極化現象。
どっちが好きかと言ったら、自分はひなびたとこだなぁ。

断然、のんびりできるよ。
返信する

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