同僚T根が、事あるごとに、「平成最後の」を連発する。
「平成最後の『まるます家』に行きましょう」とか。自分としては、「まるます家」は行ったばかりだったので、もういいかなと思っていたが、彼はどうしても行きたいらしく、「昭和の日」に予定を入れた。
多分、これが「平成最後のまるます家」であり、「平成最後の『居酒屋さすらい』」になるのだなという感慨深いものがあった。でも、そのメモリアルな店が、「まるます家」なら、納得もいくというものだった。
朝10時に店の前に集合。本当は9時集合を呼びかけたが、T根が、「会社に行く時間と変わらない」という理由で嫌がり、10時に。それじゃ、一回転するまで、外で待つよと忠告したにも関わらず。だが、予想に反して、待たずに店に入ることができた。店はいつもより、かなり空いていた。
「ジャン酎」、「モヒート」。
それは「平成最後の」を飾る飲みものに相応しい。それは、「ゴールデンチュウハイ」でもなく、「ホッピー」でもなかった。
そして、「たぬき豆腐」に「メンチカツ」。
いやはや、定番メニュー。
太田和彦氏は、自身の著者「居酒屋味酒欄」に、「人生最後の一献」は、湯島の「シンスケ」と書いたが、自分の場合はどうか。「平成最後の」を「人生最後の」と置き換えてみても、「まるます家」は、それに相応しいとも思う。
T根は、こんなことをポツリと言った。
「娘とここに来るのが夢」。
娘さんの人生初居酒屋が、「まるます家」だったら、なんて素敵なんだろう。
そう言えば、ウチの場合も同じようなことがあった。林家正蔵師匠の「4時から酒」に、「まるます家」が出た回を息子と見ていると、将来酒飲みの片鱗を見せる息子ほ、「ここに行ってみたい」と言った。「大人になったら、連れてくよ」と返した。あと、10年後、ボクはどうなっているのか。そして、世の中は。ちなみに、T根のお嬢さんとウチの息子は、同い年である。
「里芋のから揚げ」(350円)。
「たぬき豆腐」は、豆腐半丁入った、大盛り。ばかでかい「メンチカツ」は、サルサソースで。そして、ホクホクの「里芋のから揚げ」。なんて、うまいんだ。
初めて、この店に入ったときは、緊張したっけ。怖いお姉さんに叱られないかと。そのお姉さん方も、当時のまま。厨房手前の、司令塔席、宇宙戦艦ヤマトでいうと、沖田十三艦長の席にいる、お姉さんは、今も昔も変わらない。このお姉さんを頂点にして、「まるます家」の独特のリズムが形成される。
やっぱり、楽しい。
平成最後の居酒屋が、朝10時からの「まるます家」で良かったと思う。
「ジャン酎」2本のランデブーはあっという間だった。会計、4,400円。これにて終了。
ありがとう!平成。ありがとう!「まるます家」。
と、なるはずだったが、事態はにわかに急変した。「まるます家」が、平成最後にならなかったのである。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます