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居酒屋さすらい 1269 - 清々しい京都の本格派。なのにこの値段 - 「立呑み いなせや」(京都市下京区東洞院通七条下ル真苧屋町)

2018-01-05 23:34:35 | 居酒屋さすらい ◆立ち飲み屋

日本シリーズのチケットが取れたら西明石から広島にとんぼ返りしようと思っていた。けれども、その夢は儚くも破れ、ボクは京都を目指していた。ふらいんぐふりーまん師に会うために。

おっ、とその前に京都駅周辺の立ち飲みで一杯引っかけていくとしよう。京都駅近だとすると、「ひょうたん」だろうか。だが、たまには違う店にも行ってみたい。仕方なく、ネットで検索すると、「いなせや」という店がヒットした。わりと駅から近い。

それほど期待していなかったが、店の前まで来て、驚いた。随分と立派な店だったからだ。店内は広く、清潔で、清々しさが漂ってくる。時刻は15時を過ぎた頃。客は一人、年齢不詳のスレンダーな女性がカウンターで飲んでいる。厨房は忙しそうに仕込みをしているのだが、その雰囲気がいかにも京都らしかった。気品があるのだ。その厨房を任された者たちの立ち居振舞いには、まるで料亭のような厳粛な美しさすら感じるのだ。


ボクもカウンターに陣取り、「生ビール」を目の前の厨房にいる若いスタッフにオーダーした。厨房で働く人にオーダーはかけにくいものだが、その男性は屈託のない笑顔を浮かべて、きいてくれたのだった。

さて、何を食べようかと、頭上の壁に整然とかけられている木札のメニューを眺めていると、メニューの多さとその値段に驚いた。

「冷奴」、「枝豆」が120円。

「たこ酢」、「もずく酢」が180円。

「アジフライ」、「海老フライ」も180円。

「豚足」250円、「さば煮付け」280円、「生せんまい」350円。

なんなんだ。この安さは。

そもそも、一番搾りの「生ビール」が280円だなんて。そんなのありか。

ボクはてっきり、京都価格の上乗せ値段をとられると思っていた。立地、店舗の広さ、いずれも高コストだ。しかも厨房には5人ほどのスタッフがいる。東京では考えられない布陣である。けれど、そうした状況にも関わらず、この値段。


ボクは、何を頼むか、迷ってしまった。京都らしいものといえば鱧。鱧はないかとメニューを眺めていると、えりました!「はも落とし」450円。これは後でいただくとして、まず小手調べの「ポテトサラダ」。

これが僅かに150円。もはや「晩杯屋」の比ではない。しかも、このポテサラのうまいことといったら。玉子をたっぷりの上品な味。じゃがいももしたゆでをし、パサパサ感がない。まじうまい。

さぁ、次は200円の「チュウハイ」いくか!と思ったところで、ふらいんぐふりーまん師からのメール。

「まさか、立ち飲み寄ってんじゃ・・・」。

鋭い男だ。

ビール一杯とポテサラのみ。これでたったの430円。


しかし、立ち飲み不毛と言われた京都も近年は京都らしいカッコいい立ち飲みが増えてきた。噂に聞く、材木屋さんの立ち飲み、そして若者に人気のある「すいば」。京都らしい清々しさと質のいい肴。素晴らしすぎ。


この「いなせや」。

久々のインパクトだった。「晩杯屋」はジャンクだが、この店は本格派。

いつか必ずリベンジしなければならない。

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