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競馬に競輪、そして遊郭。
国内きっての盛り場のくせに、意外と立ち飲み屋が少ない。
川崎はけっこう歩き回って店を探したのだが、見つかった立ち飲みは2軒のみ。
絶対そんなはずないだろうとボクは、京急川崎駅の周辺を散策した。
JRよりも断然怪しげな雰囲気の京急川崎。すると、いとも簡単に立ち飲み屋を見つけることができた。
しかも2軒、いっぺんに。
1軒目が「元祖立ち飲み屋」。そしてもう1軒が「フルミチ」。
前者はオープンしているが、後者はまだ開店前。
since 1970と書いてある。
店内を覗くとだいぶ賑わっている。
なんで、今までこの店に気づかなかったのだろうか。
ボクは店に入った。
玄人好みの店である。
コの字のカウンターにろくでなしらが仁王立ちしている。
その活気たるや凄まじい。
この雰囲気、赤羽の「いこい」に似ている。
ちょっと怖い店員。ろくでなしの野郎ども。
この店、なかなかの強者だ。
ボクはまず、「生ビール」(350円)をオーダーした。
「元祖立ち飲み屋」という店名にちょっとひっかかる。
「元祖」とは何だろうか。
立ち飲みというカテゴリーを切り開いたという元祖なのか。いや、立ち飲みは戦前からある。
それとも「立ち飲み屋」という店名において元祖なのか。
確かに「立ち飲み屋」という店はたまにある。
町田に同じ店名の店があり、もう10年ほど前に1度入った。恵比寿の店は「立呑屋」といった。漢字が違うので、同じ店ではない。
元祖というのはちょっと往生際が悪いと思う。
「うちはまがいものではありません」という差別化。
せっかくいい店なのだから、ここはどっしり構えているのがいいのではないだろうか。
「きつね煮」(130円)。
「明太スパサラ」(200円)。
「チーズ沢庵」(180円)。
なかなかおもしろいメニューである。
このメニューは東京にはない。値段もまずまずである。
メニューの数が多い。それだけでもう何を頼んでいいか、分からなくなる。
「きつね煮」を頼んだ。
お揚げ1枚である。しかも牛肉入り。
きつねと牛の幸せな邂逅。
うまい。
ビールを飲み干し「チューハイ」(300円)に。
小欄で常に言い続けてきたこと。
いい立ち飲み屋には独特のリズムが流れている。
それをボクはグルーヴ感と表現する。
最近好きな漫画に「とんかつDJ アゲ太郎」がある。
とんかつを揚げる音にDJとしてのリズム感を見出すという内容で、これはボクが考える立ち飲みのグルーヴ感に、通底するものである。
だから、いい立ち飲み屋は入った瞬間に分かる。
ドラムンベースのようなズシンとくる音が腹の底に響き渡る。ボクらはそのリズム感に酔い、そのグルーヴ感に乗せられて、注文をする。
「元祖立ち飲み屋」。
ただものではない。
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