息子と出かけたその帰り、昼飯を食べようとなった。
自分としては吉牛をイメージしていたが、彼はどうも吉牛が嫌みたい。Z世代は牛丼は昼飯の選択肢に入らないのか。では、どこへ行きたいかと聞いたら、即座に答えたのが、「ラーメン」だった。
王子神谷駅から最も近いラーメン専門店といえば、「机上の空論」である。今なら、「王子ラーメン」という選択肢もあるが、この時はまだお店がオープンしていなかった。
ラーメンはあまり好んで食べないが、仕方ねーな。
歩くこと約10分。お店に到着。お昼時なのに、並んでいるお客さんは皆無だった。このお店は店内に空席があっても、勝手に着席してはいけない。必ず外に並び、お店の人が声をかけてから店内に入るのがルールになっている。お店の前を通ると、必ず外にあつらえられた椅子に人が座って並んでいるのが常だったが、ここ最近人が並んでいることは少なくなった。そして、この日も。
ただ、「食べログ」では3.71の得点を叩き出し、TOP5000に燦然と輝く。今も人気店である。
とりあえず、外の席に座ると、やがて声をかけられ店内へ。券売機に金を2,000円突っ込んだら、息子は「机上のネギ味噌中華」(1,200円)をオン。抜かりのない奴め。そして、自分は「中華そば(しょうゆ)」(1,000円)のボタンを押下。
並びの席がなかったので、離れた席に腰掛けた。
このお店のラーメンの出し方の特徴は丼の温めだろう。タワーのように重ねた丼の上から熱湯をかけて温める。それがまるでひとつの儀式のようなのだ。
「机上の空論」は今回が2回目なのだが、この儀式は食べる前のワクワク感をあげてくれる。もうひとつ気づいたのが、BGMである。前回もアニソンをかけていたが、今回も同じ感じ。てっきり有線かと思っていた。ところが、「宇宙刑事ギャバン」の主題歌が流れてきた。前回もやはり、「ギャバン」がかかった。もしや、これ店主が作ったアニソンオムニバスか。厳密にいえば、「ギャバン」はアニメではないが。
さて、丼タワーのイニシエーションと「ギャバン」で気持ちが最高潮になる中、ようやく、自分の眼前に「中華そば(しょうゆ)」が静かに置かれた。
ラーメンは好んで食べないが、大好きである。あまり食べないのは、それが毒の塊と認識してるから。
さてさて、まずはラーメン全体を眺めて、その姿をじっくり眺める。対話である。東海林さだおさんではないが、ラーメンは対話が重要だ。そしてスープから。準備運動をかねて、スープの出来を感じる。昭和の「中華そば」は、鶏がらスープの醤油ラーメンだが、「机上」はやや白濁している。その由来が何かは分からない。ただ、これが「我的」なるゆえんなのだと思う。
いいも悪いも分からないが、井之頭五郎さんみたいに、心の中で、「いいじゃないか、いいじゃないか」と唱えてみる。そしておもむろに麺をすすっていくのだ。
うまいなー。
断然うまい。
東十条が誇る「ほん田」と「机上」の二大巨頭。
スープもよければ麺もよし。そのバランスが、この「中華そば」を高みに引き上げる。
けれど、1,000円は高いよ。毎日は食べられない。
でも「中華そば」の最上級、ここにあり、だ。
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