携帯電話のない時代に生まれた者にとって、電話はひとつの関所だった。初めて電話をかけた日のことを今も覚えている。いきなり、間違い電話をしたのだった。やがて、彼女が出来、電話を頻繁にするようになったが、そこで立ちはだかるのは、彼女の父母だった。彼女の家に電話をかけると、ほぼ必ず、彼女のお母さんが不機嫌に出た。自分にとって、強敵な電話交換手だった。
電話交換手という仕事を自分は知らない。自分が物心ついた時は、もう電話は自動交換だった。ただ、一度バンコクから実家にコレクトコールで電話をかけた時、英語で交換手が繋いでくれた。そりゃそうだ。電話番号間違えてたら、相手は目も当てられないし。
札幌、3日目の朝、飛行機の便まで余裕があるし、どこに行こうかと思案した。狸小路にサウナがあったが、大儀になり、時計台に行ってみようと思った。札幌の象徴には随分、行ってないと思う。
その途中で見つけたのが、この碑である。
はじめはこれを記念碑とは思っていなかった。よく分からない建造物だろうと。ところが、このモニュメントの中央に何やら説明文があった。どうやら、北海道の電話が100万に達した1973年に、かつての電話交換を行っていた場所に記念碑を建てたらしい。以来、半世紀、この大通り公園に記念碑がある。記念碑は心なしか、北海道をかたどったようにみえる。単なる思い過ごしだろうか。
電話交換手の記念碑はあちこちに点在している。それは携帯が普及する一つ前のフェーズとしてのメモリアルだ。
今の若い子たち。彼女や彼氏とアクセスが自由な環境にいる。それは羨ましくもあるけれど、試練を乗り越えていない分、成長もできてないと思う。
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