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居酒屋さすらい 0822 - 決め手は生ホッピー - 「居食処 氣楽」(北区上十条)

2015-02-04 10:23:16 | 居酒屋さすらい ◆東京都内
FC東京が西が丘に帰ってきた夜、ボクは嬉しかった。おらが街のサッカークラブとして応援してきたが、ホームスタジアムを東京スタジアム(現、味の素スタジアム)に変更して以来、かのクラブは都下のクラブになってしまった。だが、この日、FC東京は、我が街に帰ってきた。リーガエスパニョーラ2部のSCサパデルとの練習試合のために。
味の素フィールド西が丘。ゴール裏の向こうに古い団地が見える。このサッカー専用スタジアムが我が街にある幸せ。かつて、川縁三郎がチェアマン時代に言った「23区にひとつずつクラブがあっていい」という言葉を思い出す。確かにそう思う。TOKYO23ではなく、スペリオ城北でもない、もっとミクロなクラブが。
 
ゲームは面白くなかったが、スタジアムから自転車で帰宅できる喜びを胸に、ボクは酒場に急いだ。赤羽か十条のどっちで飲むか悩んだが、落ち着いて飲める十条で止まり木を探す。十条銀座に続く細い道を通った時、ボクは立ち飲み屋を見つけた。こんなところに、立ち飲み屋があっただなんて。自転車を止めて、しばし見た後、この日は立ちっぱなしだったこともあり、別の店に向かうことにした。
 
だが、15分程度、店を物色したが、ここぞという店を見つけられず、さっきの立ち飲み屋を再び探しに出かけたが、はておかしい。見つからないのだ。何度も何度も近辺の道を行き来したが、結局店は見つからなかった。王子の狐にでも化かされたか。
失意のまま、別の店を探すことにした。
 
そうこうすると、一軒の店の前に辿り着く。
臙脂の看板に氣楽と書いてある。
店頭にあるメニューには「生ホッピー」の文字が躍る。
これが決め手となった。生ホッピーの魅力には叶わない。
 
だが、店に入ると暗雲が漂った。
店には数人の客しかいなかったからだ。
ボクは店の片隅に陣取り、生ホッピーとポテトサラダを頼んだ。
 
店の主人は着物デザイナーのきよ彦さんのような方だった。オネエではなかったが、このご主人が店の主役だった。女将さんは、きよ彦さんの奥さんだろうか。
 
テレビはボクシング世界戦。常連客はその試合に一喜一憂する。
 
生ホッピー、やはりうまい。
焼酎によって大きく左右されるから、店によっても味が違う。これまで飲んだ生ホッピーのうまい店の第一位は西船橋にある「よっちゃん」。次に上野の「さいごう」だ。
だが、この店の生ホッピーも悪くない。
生ホッピーに合う酒肴はなんだろう。個人的にはお造りではないと思っている。
最終的には焼き物や揚げ物に収れんすると思う。だが、この店の主肴は「おでん」だ。その視点は斬新である。
 
けれども、この日は梅雨明けしたばかりの蒸し暑い日であったうえに、西が丘まで自転車で往復したものだから、「おでん」気分では全くなかった。そこで、ボクが頼んだものは「冷や奴」(360円)に「うるめいわし」(500円)。前者はすぐに出てくるだろうと予想して。後者は、伝統的酒場の代表的
酒肴だから。
こんなライトな肴にも生ホッピーはよく合う。
そうこうするうち、常連さんが次から次へと店に入ってくる。ボクは段々居場所がなくなってきた。生ホッピーを1杯だけおかわりして、店を出た。あぁ、やっぱりボクには立ち飲み屋の方が「気楽」でいいなと思ったのだった。
 
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