会社が引越しすることになった。
現在の内神田から今度は御徒町へ行こうというのである。
神田はあらゆる面で便利だったし、江戸の名残を残す風流な一面も好きだった。飲み屋も食べ物屋も多くあり、楽しい町だった。実は離れがたい。
しかし、一方の御徒町にも魅力がある。飲み屋の数もさることながら、雑然とした町並みはアジアの町のようで大変興味深い。引越しは密かに楽しみでもある。
実は先日、その引越し先の部屋を会社全員で見に行く機会があった。銀座線の末広町から徒歩2分、JR御徒町駅から徒歩5分という立地である。
そして一通り部屋を見学した後、暑気払いをかねた宴会が設けられたのである。
会場はJR御徒町駅のガード下、「霧笛屋」だ。
いちいち、こんな会社の行事をこの放浪記に書くことはしたくない。前回も半ば会社の会合をこの放浪記にしたためた。2回も続けて自分の意志ではないお店に行った記述を書くことはこの放浪記の精神に反する、とも思う。
だが、今回どうしても書かずにいられなかったのは鱧(はも)がうまかったからである。
お店そのものはとりたてて特筆するものではなかった。お店に入ると石を敷き詰めた庭園風の演出が施され、ミニチュアの弁天やら錦鯉が泳ぐ池やらなどがあり、お金はかかっているが、悪趣味のような空間がしばし続く。
そして、通された座敷では何故か60’Sのアメリカンポップスが延々と流れるのである。
コンセプトがよく分からない霧笛屋だが、料理は悪くはなかった。刺身の盛り合わせは新鮮だったし、串あげ、カニのフライも熱々で頂くとホクホクとうまい。ビールは瓶でヱビスが運ばれ、またもやさしつさされつの嫌~な雰囲気が再現されるのである。
一通り、ビールを飲むと、焼酎が飲みたくなった。下座にいるT根川君に「何でもいいから」と焼酎のお湯割りを頼むと「大魔王」が運ばれてきた。「むむっ、またしても忌々しき大魔王め」、いかし、飲むとやはりうまいんだよなぁ。やっぱ、オイラには安酒が合うんだろうね。
今pとツールドフランスの話しをしていると目の前に運ばれてきたのは、白身の川魚系。聞くとそれが鱧という。成るほど、これが鱧か。京都府出身の今pはきっとこんなの食べ飽きているんじゃない?と正面の今pを睨みつつ、梅肉をつけて食べてみる。あっさり!淡白だけど上品。これはいける!安酒だけど、少しリッチな気分だ。
しかし、鱧。これって実はアナゴじゃないのか?
2時間の宴は続き、結局わたしは最後まで大魔王のお湯割りを飲み続けた。〆の料理は握り寿司。暑い残暑の熱帯夜にはさっぱりと酢飯がちょうどいい。
店を出ると夜の帳もおりたばかり。飲み屋の灯りもここあそこに灯っている。そして、ここ御徒町は最近ラーメンの激戦区になりつつあるようだ。
御徒町で放浪する日も近い。
※ 2010年1月 屋号が「矢まと」になっていることを確認。
ちなみに私はほとんど食べた事がありませんでした・・・
今日、神田のカレー専門店、A(エース)に行ってきました。おいしかったですよ。
師よ!まず鱧はアナゴじゃないようなぎや鱧の仲間だが、鱧科に属すると書いてあったよ。
師が結局アナゴだって言うから不安になってグーグルで調べちゃったじゃないか。
で、実際ガキのときから私鱧を食しておりました。ガキのときは冷蔵技術が発達していなかったため(と言うかうちが買えなかったのかもしれないが。)鱧フライが多かったなあ。だが、冷蔵技術が発達してからはスーパーでも鱧が売られ、夏は特に祇園祭あたりの期間で結構良く食べた記憶があるよ。安物はうなぎの安物と同じで皮の部分がゴムのようにビヨーンとなるんだよ。あれはきつかったなあ。
ちなみに俺はスーパーのパックについてる梅肉は人工的な味がひどいのでわさび醤油で食べるのが最近のお気に入りだよ。
しかし、鱧というものは味は全くないよね。その食感で食べるまさに薄い味好きの京都人が好む食べ物のひとつと言えるような気がするよ。
東に住む師にとって、味のない食べ物としていけてないイメージがあったが結構いけてるんだな。それも俺たちがおっさんになって濃い~味がダメになっているせいもあるかも。
ハモ、あの細かーく切ってあるのが特徴かとおもいますが、あれは単なる飾りでなく、めちゃめちゃ小骨が多いのを切ってるとですよ。皮一枚残して切るのは「鱧切り十年」とか言うくらい大変らしいとー。
しかし、師よ。かなりの鱧マニアだな。そんなに食卓に出るものとは知らなかったよ。今度は本格的なのを食べたいなぁ。