アメ横の上野側、マルイより南側は純喫茶が数多く残っている。
「王城」もそのひとつだが、そのたたずまいは至宝といってもよく、まさに王城である。
ビルの一階だが、煉瓦で囲まれ、頑健な手動の扉が印象的だ。
店に入るとその造りにまたもや瞠目する。
煌めくシャンデリア。瀟洒なボックスシート。美しい柄をまとった布ソファー。
この重厚な造りにまずは圧倒される。
席に通され、座った瞬間、誰もが王侯になった気がする。
完全無欠の純喫茶。
4人掛けの席に一人で座る。そして、ボクは迷わず「ナポリタン」を頼んだ。
上野の純喫茶はいずれも「ナポリタン」のクオリティが高い。
例えば、「六曜館」(「喫茶さすらい」未掲載)。
けれども、「王城」の「ナポリタン」はその上をいく。
パスタとからむトロトロのケチャップ。これぞ喫茶店の「ナポリタン」。
そう、イタ飯の「ナポリタン」と喫茶店のそれとは全く異なるジャンル。
ベタベタだけれどうまい、その喫茶店ナポリタンの王道を行く「王城」のナポリタンはまさに、キングオブナポリタンだ。
喫茶店は非日常の世界にボクらを誘ってくれる。
時には美術館であったり、時には異国であったり、時にはアクアリウムであったり。
だが、この「王城」は、ボクらを王侯にしてくれる。
くつろぎの時間が違う。
これはカフェでは味わえない。純喫茶ならでは。
ふかふかのソファにゆっくりとくつろぐ。それだけで、コーヒーはもう何倍もうまい。
昨年の正月番組だったか。
上野を巡る特番で、この「王城」がスタジオになった。
上野の純喫茶のひとつといえる。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます