結局、一睡も出来ないまま朝を迎えた。部屋の温度は夜中も一向におさまる気配はなく、階下のインド歌謡も朝方まで大音量で聞こえてきた。わたしは途中で眠る努力をやめて、本を読むことにした。そうして気がつくと朝になっていた。わたしは階下に降りて、近所のチャイ屋に出かけた。
一杯のチャイを飲んだら、気持ちは落ち着いた。ご飯を食べたら宿を変えよう。また、睡眠不足が重なって体調を崩したら元も子もない。
宿に戻り、荷物をつめなおしてチェックアウトした。
「2泊する約束だろ」というオヤジに、「随分酷い宿だな」と捨て台詞を吐いて外に出た。さて、早いところ、次の宿を探して休むとしよう。
しばらく歩くとゲストハウスは簡単に見つかった。シングルルームが30ルビー。前の宿と同じ金額だった。交渉すれば、もうすこし安くなったに違いない。けれど、わたしにはもう交渉する気力はなかった。
部屋は清潔ではなかったが、とにかく静かだった。今の自分には、もうそれだけで充分だった。ザックを置いてベッドに倒れこんだら、すぐさま深い眠りに落ちていった。
またもや、暑さに起こされた。時刻は13時。昼間ならこの暑さも致し方ない。また今夜もこんな感じでなければいいなと願うばかりである。ちょっと涼みに外に出た。やはり幾らか、外の方が涼しい。なんとなく、ぶらぶらとバザールの方に歩いていくと、賑やかな音楽が聞こえはじめ、人が押し寄せてきた。
一体なんだろう。
パレードの様に見えるが、人の動きが組織だっていない。しばらく、ぼんやりとその行列を眺めていると、更に賑やか人の塊が見えてきた。その行列の中心には馬車があり、若いカップルが並んで座っていた。その幸せそうな笑顔を見てピンときた。彼らは結婚式を挙げたのだ。彼らが通り過ぎようとしているのを目で追っていると、その行列にいる男から声をかけられた。
ヒンディーの言葉だから、よく分からないがどうにもゼスチュアから推測すると、「お前も入ってこいよ」と言っているように見える。
「いいのか?」。
何度も笑顔で尋ねると、彼は「OK」を連呼した。そして、わたしは恐る恐る列に加わり、彼らを祝福するパレードに参加したのだった。
なおこういう時、つたない語学力のせいで、きっちり文句や交渉ができなかったのが俺はとてももどかしかったなあ。
疲れて眠いのに一晩全然眠れないとか、さぞ辛かっただろう、師よ。
まあただ、これも安宿あるあるといえば、そうなんだよなあ・・・。
さて、結婚式への飛び入り参加、このあとパーチーとかにも参加するのかな?
あとそうそう、ガパオの成長っぷりはどう?うちのは巨大化したプチトマトの下でそこそこ順調に育ってるよ。
先っちょ剪定したら、そこから枝分かれして葉っぱの収穫量が増えるぞ、師よ。
やっぱ、言葉を使いこなせないのがもどかしいね。言葉ひとつで違う展開になっただろうし。
インドでは眠れない夜が多かったなぁ。苛烈な気候だったし、ホントにインドは辛かった。おっと、まだ前半も書いてないのに、こんな弱音はまずいな。
ガパオはわさわさ生えてるよ。こないだ、画像撮ってアップしたのに。昨夜も葉っぱを摘んで生ガパオライス作ったよ。生は香りがいいよ。
摘芯した方がいいの?