「せんべろ」と言う言葉が一般化して随分たつが、もはや当初の意味から変わってしまい、ただただ安く飲める店、或いは1,000円で飲めるセットなどに使われる言葉になりさがった。そのほとんどが、「せんべろ」なんかではないし、この物価高の時代、「せんべろ」はもう存在しないと思っていた。
ところが、あったのである。しかも身近に。
テング系の居酒屋チェーン、「神田屋」である。「神田屋」は座飲みと立ち飲みを併設する店舗形態だが、赤羽店は立ち飲み限定で「せんべろ」セットが設けられている。セットは1,100円で10枚のベットチップが提供され、メニュー毎に決まったベットチップを支払うというもの。
特筆すべきは「酎ハイ」、「ウーロンハイ」がベットチップ一枚で飲めるし、1枚から交換できるおつまみもある。
10枚のベットチップの使い方は自由であり、最大で10品を飲んで食べることが可能だ。まやかしの「せんべろ」が幅を利かす中、これは本当にべろべろになりそうなセットである。
まず、試しに「酎ハイ」と「ポテトサラダ」と「鶏オクラ」をいってみた。
いずれもベットチップ1枚のメニューであり、各110円である。ただ、「酎ハイ」はちょっとあまりおいしくなくて、微かに甘い。次の一杯は別のものにするか。ポテサラは恐らく業務用。110円なら文句は言えない。
次に「ホッピーセット」白をオーダー。
これがベットチップ3枚。ちなみに「中」は1枚なのでセット+「中」2杯で550円である。これなら最初から「ホッピーセット」にすればよかったとちと後悔。けれど、まだベットチップは4枚も残っている。「中」を2杯飲むとしても、まだ残りは2枚だ。
お客さんか入ってきて、立ち飲みコーナーにポジションしたが、店員から1,100円の「せんべろ」セットは売り切れたと告げられていた。どうやら、このお得なセットは人数限定らしい。人数が超過すると、セットは1,650円に跳ね上がる。
ふと視線が気になり、そちらに顔を向けるとおじさんがにこにこしていた。
「このセット、お得ですね」と話しかけると、「すごいよね」と返してきた。おじさん、この店によく来るらしい。聞くところによると、ここでもう4軒目とのこと。強者現る。芝のお店で飲み、新橋で飲み、そして十条に来て、ここに辿り着いたという。この後、近所の「喜多屋」に行くらしい。しきりに、「あそこのオヤジとソリが合わなくて」と言っている。しかし、5軒目のはしごとは恐れ入る。彼とはまたどこかで会えそうな気がする。
さて、「ホッピー」にシフトしたのを機に、おつまみを追加する。「アボカド刺し」と「ポテトフライ」。
こちらもまたベットチップ各1枚だ。110円のおつまみは量もちょうどいい。
「中」を2杯おかわりして終了した。
いただいた小坂は「酎ハイ」、「ホッピーセット」に「中」2杯。おつまみは計3品。これで1,100円。これにて「せんべろ」完成。そのセット名に偽りなし。
なお、ちょっと前に渋谷で入った「神田屋」にはこのメニューはなかった。全ての「神田屋」でこのセットが提供されているかは不明である。
ちなみに、この店舗は5月22日をもって「てんぐ大ホール」に業態変更した。
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