自宅の近所で怪鳥と落ち合った。あり得ないシチュエーションである。怪鳥の得意先が我が家の近所にできたらしい。自宅まで150m。微かに見える建物を指差し、「あれがウチのマンション」と教え、酒場に向かった。
はじめに目指したのは豊島の「とんぺい」。しかし、調べてみると、この日は定休日。仕方なく、北本通りを王子方面へ。たっぷり一駅分の距離があるが、我々は歩いた。王子を代表する大衆酒場は2軒あって、一つは言うまでもなく、「山田屋」。もう一軒が、「やまに」なのだが、怪鳥は数週間前に、「やまに」に行ったらしい。なら、もう目指すは「山田屋」しかない。ただし、怪鳥は「山田屋」ももはや経験済みらしい。
「山田屋」に行くのは9年ぶりか。実は、「居酒屋さすらい」のタイトルホルダーである。それにも関わらず、足が遠のいているのは、山田屋は常連が多く、そんなに気軽じゃないし、やたらと店ルールが多いから。それでもあの当時、「居酒屋さすらい」のアワードに選出した。あの頃は若かったな、自分。
すっかり忘れていたが、「山田屋」では瓶ビールを自ら冷蔵庫に取りに行く。店員さんに頼んだら、そのように窘められた。でも昔だったら、もう少しきつく言われたかも。9年前に来たとき、知らずに常連の座る場所に陣取ったら、結構きつく注意されたから。それに比べれば、随分と人あたりはソフトになった。この人、確か三代目かな。時代は三代目の代になったのか。ピリピリとした雰囲気ももうあまり感じられない。
怪鳥がオーダーしたのは、煮込みとタコの何か。
食べくさしの「煮込み」を撮影しているのは、自分もはや酔っぱらっているのか。
18時半を過ぎても、店内は埋まらない。もしかすると、「山田屋」の人気に陰りでもみえたか。
怪鳥と初めて北区で飲むということで、かなり入れ込んだ。その結果、「山田屋」と相成ったが、少し後悔している。全然落ち着けないのだ。いや、もっと具体的にいえば自分のペースになれないのだ。もしかすると、それは9年前のトラウマかもしれない。あの日、怒られちゃったから。
ビールを飲み終え、何にしようかと壁のメニューを眺めて、焼酎のノンアル割にした。
いわゆるゼロッピーという奴。このノンアルも勝手に取りに行くのかと冷蔵庫を漁ったが、これはどうもオーダーするらしい。
結局、最後までペースを握れず、お開き。地元だからか、それとも店の相性が悪いからか、不完全燃焼のまま、怪鳥と王子で別れた。
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