もう東京はすっかり夏だった。
梅雨の晴れ間、神谷町にある一番搾りガーデンズはすっかりもう夏だった。16時の夕刻。陽はまだ高い。
都心の真ん中にぽっかりとできた不思議な空間。ログハウスのようなビニールハウスのような建物の前で、ボクは立ち尽くしていた。
まるで、これからボクは一番搾りの海の中に入っていくような感覚を覚えた。
夏の到来はなんとなくウキウキする。いよいよビールの季節が来たのかと。
だから、ボクは「一番搾りフローズン」(700円)と「アイススタウト」(650円)を各パイントを注文し、両手でそれを持ちながら、立ち飲みコーナーに向かったのだった。
16字だというのに、店はもはや混み始めていた。
だから、ビールを購入し、立ち飲みスペースにビールを置くと、またフードの列に並びなおさなければならなくて、それが面倒くさかった。それでも、酒肴の一品一品を見ていくと、とてもワクワクするようなものばかりがラインナップされていた。
「有機ズッキーニとフルーツトマトの柚子マリネ」(500円)
「キタアカリと乾塩ベーコンのポテトサラダ ~黒トリュフの香り~」(500円)
「黒胡椒コンビーフと米粉のバゲット」(500円)
「白身魚のさっくり揚げ 一番搾りのころも」(700円)
「北海道生乳使用 カニクリームのひと口コロッケ」(500円)
これらは、酒肴のほんの一部だが、長々とネーミングされたビールにあう肴がずらりとメニューボードに書かれていた。
このネーミングの料理を想像しただけで、いい香りの芳香が鼻腔をかすめ、いやが上でもビールのボルテージは上がっていく。さて、どのつまみを選ぼうかな。そんな思いで並んでいると、いよいよボクの順番になったところでもまだ、選びきれなくて、「うーん」と頭を抱えながら、ようやくボクは「海老・カニのマヨディップ」(500円)と口にしたのだった。
注文すると、出来上がりに時間が必要らしく、のちほど届けてくれるということで、ボクはスタンディングポジションに戻り、外のガーデンを眺めながら、ボクはフローズンのとんがり部分をまるでソフトクリームへのファーストキスのように口づけた。
あぁ、この感覚。たまらない。肌理の細かい泡にまで味がついている。その氷山の一角に沈む、金色の麦汁に早く辿りつきたい一心で、ボクは杯を傾けた。
たまんねー。
今度は漆黒のスタウトにボクは接吻した。苦味が口の中を一瞬のうちに支配する。
こっちもたまんねー。
そうするうちに、やがて酒肴が運ばれてきた。
エビカニビクス、おっと間違えた。
「海老とかにのマヨディップ」。ボクの中でも意外なチョイス。あっさりとした淡白な身にしょう油とマヨネーズをあえたディップがたまらない。これいいじゃん。
一瞬、お芋系の酒肴にしようと悩んだが、甲殻類コンビのシーフーズにして本当に正解だった。
梅雨のジメジメ感が体にまとわりついていたが、一番搾りのバナナフレーバーが一瞬のうちに爽やかな空気に変えてくれた。
やっぱ、「一番搾り」だよな。
スーパードライのエクストラコールドではないよな。
そうそう、17時半には、会社の連中と合流する予定だった。それまでにボクは席取をするのがミッションだった。だが、時刻は17時を過ぎ、気が付けば、もう外のコテージ風のテーブル席は客に奪われていた。
「あ~ぁ」。
ま、いいか。
会社の連中が来たときは、そのときに考えればいいか。
さぁ、「フローズン」をおかわりしようっと。
ビールメーカーが、自社ビールにあうツマミを出さなければ、それは食べ物を扱う会社としてだけでなく、自社ビールのイメージも大きくダウンすることになる訳だから、そりゃちゃんとするよねえ。
って事で、師が既に紹介している他のビールメーカーのアンテナショップも、悪くない評価になっているんだと思う。
それなのに、最新記事で師が紹介してる、個人のテクニックによる作ったもので商売しているのに、それが、飲料メーカーのある意味量産型商品に完全に負けているお店があるという事実・・・。そりゃあお客さんも入らんよなあと納得する次第だよ。
しかし、冬に思いっきり夏の記事。今、どれくらい遅れ取ってるんだっけ?
さて師よ。今年も大変世話になったな。来年は俺が久々に東京に行こうと思う。来年もどうかよろしく。
良い年を迎えろよ、師よ!
今年は3度も京都にお邪魔して、大変お世話になった。
最近は、週に4回も休肝日をとってるよ。
でも、正月はいっぱい飲むよ~。
よい、お年を!