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雲の上には宇宙(そら)

 雪国越後にて、30年ぶりに天体写真に再チャレンジ!

ちょっと真面目にPHD Guiding

2014年10月15日 | それでも星は流れる
9月に中古で購入したVC200Lの最大の課題は・・
なんといっても長焦点(f1800mm)であることからくるガイド精度の向上でした。
特に機材のタワみはやっかいで、短焦点のR200SS鏡筒(f800mm)でも散々悩まされました。
一つ間違うと、対策のための追加機材の購入で中古の鏡筒以上の出費のおそれも。
結果は既にブログ掲載済みですが、少ない出費の『ドン・キホーテ(改)』でタワみは克服できたようです。

ただ、タワみによる星像の移動はなくなったのですが、赤経RA(東西方向)のブレが大きくて
相変わらず撮影した星は流れたように写っています。
考えてみたらPHDガイディングを始めてかなり経つのですが、
もっぱら機材のタワみによる流れとの闘いに明け暮れ、
PHDの設定値についてまじめに考えて来なかったことに気づきました。

たぶん晴れていればいきなり設定値を色々構って適当なところで落ち着くんでしょうが、
相変わらず天候が思わしくないので、ちょっと真面目にPHD Guidingの机上検討を行ってみました。

尚、検討にあたってはいろんな方が書かれているPHD Guidingのブログ記事の美味しい所を参考にさせていただきました。

■ 事前準備 基礎データ

赤道儀(EM-200USD)
〇 ピリオディックモーション 周期:分  実測値:±5.9″
〇 赤経モーター回転精度 0.001%(カタログ値)
〇 極軸据え付け誤差 3′(平均で推測)

撮影カメラ(EOS 60D) 〇 画素サイズ 4.3μm
ガイド用カメラ(ORION SSAG) 〇 画素サイズ 5.2μm

撮影鏡筒(VC200L f=1800mm)& 撮影カメラ(EOS 60D)・・・1画素の画角 0.49″
ガイド鏡筒(D50mm f=700mm)& ガイドカメラ(SSAG)・・・1画素の画角 1.5″

( * 1画素の画角はステラナビゲータの写野角データより、比例案分で算出 )


(検討項目1) ■ Min mo tion の設定値
これは ガイドCCD上でどれだけガイド星が動いたら制御をおこなうか の設定値です。(単位は画素)

そんなもの小さければ小さいほどガイド精度があがるんじゃないの?  と思うのですが、

実際は大気のゆらぎによってガイド星が本来の位置から短時間にフラフラと移動します。
通常のガイド用CCDカメラではそのような短時間の補正には追随できないため、
結果的には後追いで振り回される事になり、過大な制御(ハンチング)で星がブレてしまいます。
(短時間のゆらぎの補正にも対応したものはAO(補償光学装置)といい非常に高価です。)

従って星が流れて見えない範囲で、Min moを大きくしたいのです。
それでは ”星が流れて見えない”許容量を考えてみます。
わたしはこれまでの画像処理の経験から、星像の直径の半分くらいまでならなんとかなると思っています。
それでは肝心の星像のサイズはどのくらいになるのでしょう。
光が波であることから発生する干渉によって、光学系のF値(f焦点距離/D口径)に比例して星が膨らんできます。
干渉によって膨らんだ星のサイズ(エアリーディスク)μm = 1.44 × F

わたしのVC200L鏡筒ではF9ですので、星像は約13μmになります。
(「天体望遠鏡徹底ガイドブック」によるとVC200Lの光学設計上の星像はもっと小さいのですが、
実際はエアリーディスクのサイズが最少となります。)
撮影した星像は、これに光学性能が低い場合の星像の肥大や大気のゆらぎからもっと大きくなりますが、
ここは理論的な最小値(エアリーディスク)から、その半分の6.5μmを流れの許容値として計算します。
・VC200L & 60Dカメラの組み合わせで6.5μmは --> 6.5÷4.3=1.51画素
・これはガイド鏡(D50 f700mm) & ガイドカメラ(SSAG)では --> 1.51×0.49÷1.5=0.49画素 に相当
つまり Min moの設定値は 約0.5画素 まで大きくしていい事になります。


(検討項目2) ■ 露出時間  の設定値
これは ガイドCCDの露光時間で、制御を繰り返す周期 にもなります。(単位は秒)
これも短すぎるとシンチレーションの影響が大きくなり、過剰制御(ハンチング)につながります。
従って発生する本当の星の移動量(追尾誤差)を推測して、制御が追い付く範囲で長くしたいのです。

◇ 発生が予想されるガイド誤差と量 ◇
.赤道儀(EM-200USD)のピリオディックモーション(歯車回転による周期的な進み遅れ)
周期:8分 実測値:5.9″(1/4周期2分で5.9″
.赤道儀(EM-200USD)の赤経モータ回転誤差(日周運動に対する進み遅れ)
0.001%(カタログ値) 0.9″/分 に相当
.赤道儀(EM-200USD)の極軸設定誤差
3′(仮定) 0.8″/分 に相当
* 極軸設定誤差がそのまま追尾誤差となる訳ではないのでこれは誤りです。

①②③から1分間で発生する最大の追尾誤差=2.95″+0.9″+0.8″=約4.7″/分
ここでVC200L & 60Dの1画素が0.49″であることから
4.7″/分=9.5画素/分=0.16画素/秒
つまり最大で1秒間に0.16画素の誤差(星像の移動)が発生することになる。

さて、露光時間は何秒にすればよいのか?

ここで(検討項目1)で、星が流れないように見えるにはVC200L & 60Dで
1.51画素以内とした事を思い出して欲しい。
1.51画素の誤差が発生する時間(秒)は  1.51÷0.16=9.4 となる。

最近ダウンロードしたPHD2では最長15秒まで露光時間を設定できるが、
上記の9.4秒という露光時間(制御間隔)は、ちょうどMin moの設定値を越えるかどうかという時間であり、
ギリギリ越えなかった場合は次回に持越し、制御量不足が発生するおそれがある。
それを避けるには、もっと露光時間(制御間隔)を短くした方が良い。
という訳で 次回検証時には 露光時間  を軸に、
他のパラメターも含めた検証を行う事とします。

実はこれまでの設定は Min mo 0.15画素露光時間 1秒 だったのですが、
シンチレーションによる星のゆらぎをできるだけ無視するとした結果、
こんなに4倍近くの大きな変更となりました。
これでハンチングは解消できるのか? 
検証できたら報告いたします。


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思い込みによるところが多分にあると思います。(計算誤りも)
回り道にならないようアドバイスを
よろしくお願いいたします。

雲上くもがみ
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コメント (10)
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