雲の上には宇宙(そら)

 雪国越後にて、30年ぶりに天体写真に再チャレンジ!

VC200Lガイド検証(その1 タワみによる流れ)

2015年02月07日 | それでも星は流れる
せっかく、短焦点反射鏡筒R200SS(口径20cm焦点距離800mm)
「親亀子亀方式」でガイドすることにより、星の流れを許容範囲に収める事ができたというのに・・。
昨年9月、口径は同じものの焦点距離が倍以上1800mm)VC200L(中古)を
ポチッてしまった事から、新たな苦労が始まりました。
奥にあるのがR200SS、手前が新しく購入したVC200L 。(鏡の口径は共に20cm)

その経過についてはブログの中で報告してきましたが、未だ満足できるガイド精度が得られていません。
ただ、その検証の過程で、星の流れは次の2つに分類できることがわかりました。

タイプⅠ.タワみによるゆるやかな流れ
原因は荷重の変化により、撮影鏡筒・ガイド鏡筒の向きがズレるためと思われる。
ズレは露光時間と共に増大する。

タイプⅡ.ブレによる短時間の流れ
はっきりした原因はわかりませんが、
大気のゆらぎやガイド信号による過剰制御、赤道儀のギヤ摩耗による回転ムラなど
特定できていませんが、いろいろ考えられます。
露光時間が増えてもブレの量はあまり変わらない。


今回は
Ⅰ.タワみによるゆるやかな流れ
について
これまでに得られたガイド結果の実績データを元に検証をおこないます。

タワみによる流れについては、R200SSの頃からの課題で、
主に撮影鏡筒とガイド鏡筒の搭載方法が問題となります。
VC200Lにおいても購入直後から試行錯誤の連続でした。

Step サイドスコープ 方式
VC200Lは鏡筒バンドではなく鏡筒本体のアリガタで固定する方式のため、
そのままでは「親亀子亀」方式が使えず、プレートにガイド鏡と並列に搭載しました。
関連記事はこちら

<ガイド実績データ>
2014/09/22 ⊿Ra=21.5 pixel/H ⊿Dec=2.5 pixel/H ⊿L=21.6 pixel/H

* 星像の位置データはステライメージ7の自動位置合わせのデータから取得しています。 右はPHDGuidingで表示されたグラフ。
2014/09/22 ⊿Ra=28.0 pixel/H ⊿Dec=4.6 pixel/H ⊿L=28.4 pixel/H

2014/09/23am ⊿Ra=35.6 pixel/H ⊿Dec=6.5 pixel/H ⊿L=36.2 pixel/H

それぞれ別個に鏡筒を固定しているため、R200SSの時と同様(それ以上?)
時間とともに赤経Ra(東西方向)が大きくズレて、星像が長く伸びています。
得られる星像の流れは赤経Raと赤緯Dec(南北方向)の流れが合成されたものになります。
上記3件の合成された流れの平均は
露光1時間当たり 28.7画素(VC200L+60D)になります。
流れの許容値ですが、実際の星像は最小で画素程度でしたので、その半分の画素以下を許容値とします。
つまり1枚15分露光ならば1時間で16画素までが許容範囲となるのですが、
この方式ではかなりオーバーしていることがわかります。
* 実際はこれに短時間のブレが加わるので、もっとシビアな許容値が必要。


Step 親子鷹 方式
VC200Lは筒底に荷重が集中し、R200SS以上にバランスがとりにくい鏡筒です。
そこでこんどはマルチプレートに2個のアリミゾで固定し、
ガイド鏡筒はキャリーハンドルについていたカメラネジを利用して取り付けました。
関連記事はこちら

<ガイド実績データ>
2014/09/28 ⊿Ra=42.7 pixel/H ⊿Dec=4.5 pixel/H ⊿L=43.0 pixel/H

結果は
露光1時間当たり 43画素(VC200L+60D)と大幅にオーバー。
これは予想していた結果で、VC200L鏡筒の固定は強固になったものの、
ガイド鏡とマウントをカメラネジ1個で支えるのは無理がありました。
 


Step ドンキホーテ 方式
カメラネジでガイド鏡を固定するのは無理があるとわかったのですが、
重心を下げてもっとシンプルな固定方法ではどうか試してみました。
より焦点距離の長いガイド鏡にしたのですが、イメージシフトにより鏡筒バンドで直に固定できます。
関連記事はこちら

<ガイド実績データ>
2014/10/01 ⊿Ra=35.4 pixel/H ⊿Dec=83.4 pixel/H ⊿L=90.6 pixel/H

きつく締めたのですが、カメラネジの回転方向にあたる赤緯(Dec)だけで
なんと露光1時間当たり 83画素。赤経(Ra)と合成するとなんと91画素にもなりました。
長い槍で風車に挑むドン・キホーテの様に無理があったようです。
 

Step ドンキホーテ(改) 方式
VC200L本体はアリミゾ2個所で固定されているので、
ガイド鏡も前後二か所で固定する方法を考えてみました。
鏡筒前部に巻きつけてあるのは、鏡筒回転用バンドのハンドルを外したもの。
関連記事はこちら

<ガイド実績データ>

2014/10/11 ⊿Ra=3.6 pixel/H ⊿Dec=2.8 pixel/H ⊿L=4.6 Pixel/H

2014/10/17 ⊿Ra=7.8 pixel/H ⊿Dec=19.4 pixel/H ⊿L=20.9 pixel/H

2014/10/17 ⊿Ra=37.5 pixel/H ⊿Dec=33.5 pixel/H ⊿L=50.3 pixel/H
この方式でもっとも流れが大きかったガイドデータ

2014/10/18 ⊿Ra=6.5 pixel/H ⊿Dec=6.2 pixel/H ⊿L=9.0 pixel/H

2014/10/19am ⊿Ra=2.5 pixel/H ⊿Dec=2.3 pixel/H ⊿L=3.4 pixel/H
もっとも流れが少なかったガイドデータ

これ以降のガイドソフトはPHDを使用しています。
2014/10/19 ⊿Ra=7.6 pixel/H ⊿Dec=2.7 pixel/H ⊿L=8.0 pixel/H

2014/10/19 ⊿Ra=2.5 pixel/H ⊿Dec=2.3 pixel/H ⊿L=3.4 pixel/H

2014/10/24 ⊿Ra=13.4 pixel/H ⊿Dec=10.0 pixel/H ⊿L=16.8 pixel/H

2014/10/24 ⊿Ra=35.1 pixel/H ⊿Dec=15.8 pixel/H ⊿L=38.5 pixel/H

VC200L鏡筒本体に加えてガイド鏡も2箇所で固定としたことから
飛躍的に流れが減少しました。
大流れしたことがあったため、平均では1時間当たり 17.2 画素(VC200L+60D)と、
許容値をわずか越えていますが、
ブレによる流れ」を考慮しなければ実用域に入っています。
ただこの方式の欠点として
● 搭載重量が過大で負担が大きい(人・赤道儀)(バランスウエイトだけで12.5㎏)
● R200SS鏡筒使用時に大幅な組み換えが必要



Step コンバーチブル 方式
VC200L鏡筒のアリガタの取り付けがわずか4本のネジだったため、
取り外してR200SSの鏡筒バンドを使用して「親亀子亀方式」にしてみました。
鏡筒の固定が1か所になるという問題はあるのですが、
これならR200SSと共用で使うことができます。
関連記事はこちら

<ガイド実績データ>

2014/11/20 ⊿Ra=32.1 pixel/H ⊿Dec=20.4 pixel/H ⊿L=38.0 pixel/H

2014/11/20 ⊿Ra=10.1 pixel/H ⊿Dec=2.7 pixel/H ⊿L=10.4 pixel/H

2014/11/21am ⊿Ra=7.6 pixel/H ⊿Dec=9.9 pixel/H ⊿L=12.4 pixel/H

2014/11/21am ⊿Ra=12.8 pixel/H ⊿Dec=8.0 pixel/H ⊿L=15.1 pixel/H

2014/11/22 ⊿Ra=11.5 pixel/H ⊿Dec=20.4 pixel/H ⊿L=23.5 pixel/H
この方式の平均に近いガイドデータです

2014/11/22 ⊿Ra=25.1 pixel/H ⊿Dec=20.3 pixel/H ⊿L=32.3 pixel/H

ドンキホーテ(改)に比べて、搭載重量は減ったのですが、
アリミゾ固定が1か所に減っています。
ガイド結果の平均は1時間当たり 22.1 画素(VC200L+60D)と、
少し流れが大きくなってしまいました。
この方式は今後も使用頻度が高いと思われるR200SSと共用できるというメリットもあり、
悩ましい結果となっています。

ガッチリ固定でR200SSでも使えるとなると・・
やはり あれを買うしかないか

今回、検証に使ったガイドデータをグラフにして比較してみました。 ( 画素数はVC200L f=1800mm相当に換算)
VC200L本体、ガイド鏡筒ともに2個所で固定した、ドンキホーテ(改)方式が有利なことがわかります。

次回はまだ原因の特定ができていない
タイプⅡ.ブレによる短時間の流れについて 分析を行う予定です。

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この記事を書きながら、あれについて検索していたところ、
たまたまその片割れが中古で定価の半分くらいで売り出されているのを見つけました。
気が付いたら注文していました。
どうすんだよ! まだ分析の途中だろ。
それにもう片方の方が高いのに。


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