読書週間  〈本を読んでる君が好き〉

2005年11月02日 | 小説
 今は読書週間だとか。
神田の古本市の話をラジオでやっていた。
古書店って結構わたしは好きなのだ。
近くで古書祭りがあると必ず出かける。
自分なりの掘り出し物を探し出し、自己満足して…。
骨董好きみたいなものかも。
だから、今流行の新古書店はあまり好きではない。
神経質な母は、誰が読んだか分からないから気持ちが悪いという。
しかし、わたしにはページの間にその本を選んだ人の、その本に対する想いが伝わってくる。

 去年の春のお彼岸だった。
義父の眠る霊園を訪ねると、霊園の横の空き地で何故かフリマをやっていた。
帰りにのぞくと、「御自由にお持ちください」そう書かれたシートの上に膨大な書籍が置かれていた。
多分霊園で眠っている故人が残した蔵書だったのだろう。
家族は、邪魔には思っても捨てるには忍び難かったのかもしれない。
 霊園の事務所の人がやってきて、是非沢山持って行ってくださいと言われた。

 息子も居たので手を借り、欲深なわたしは50冊くらいをわたしの趣味で選んで車に積んだ。
70年代の書籍が多かった。
わたしの好きなブリューゲルを書いた中野孝次の「ブリューゲルの旅」も。
三島や谷崎の全集や埴谷雄高 や秋山駿の評論集、そして作家になるためのHow to物が何冊か。
それらの書籍から推測すると、どうやら持ち主は作家になりたかったらしい。
赤線が引いてあるものもあり、ジャンルもいろいろ。
「下田蔵書」という蔵書印まで押してあり、本の間から1枚の写真が出てきた。
夏祭りの集合写真だった。
写っている電信柱の町名をみると弥生町とあった。
どの人が下田さんなのだろうと写真をみつめた。
コメント (1)
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