今年のGWは、息子も帰省し休暇をしっかり取るというので、私は秘かに家族での金沢旅行を計画していた。
金沢で学生時代を過ごした息子は、時折金沢に行きたいと言っていたし…。
しかし、長時間のドライブでは母を連れて行けないので、母を姉に託し、結局2泊3日の旅になった。
GWにこのような遠出をするのは初めて。
なので早出をしたお蔭で、昼頃には金沢に到着。
しかし、途中の富山から臨む私の好きな立山連峰の景色が、生憎の黄砂のお蔭でまるで見えず、まったくもって残念だった。
以前だったら、片道9000円近くかかった高速料金が、休日割引でナントナント1000円ポッキリ。
つまり片道、ひとり330円くらいで埼玉県から石川県に行けたという訳。
有り難いと思いながらも、これで良いのだろうかと実は複雑な心境になった。
とはいえ、金沢に着き、息子はかつて過ごした懐かしい場所にひとり向かい
私は夫と金沢21世紀美術館へ。
既にガイドブックに載っている見所はほとんど網羅しているので、今回の目的はずっと工事中のベールで隠れて見えなかった、金沢21世紀美術館と金沢駅の駅舎とその付近を見ることだった。
美術館の駐車場も即入庫できた。
市の中心に広いスペースを持つ、公園のような美術館…そんな印象。
企画展は有料だけれど
無料で誰でも鑑賞できるパブリックゾーンが広いのも良い。
今回は、以前スカイザバスハウスで観たことのあるイェッペ・ハインの個展『イェッペ・ハイン360°』が、開催されていた。
実は、インスタレーションには、あまり興味が湧かないのでスルー。
感心したのは、美術館特有の舞台裏を感じられなかったことだ。
多分、この美術館自体の収蔵庫は、あまり必要ではないのだろうか。
ここは、現代アートの美術館だし
その後、懐かしさに浸っている息子と落ち合って、金沢の奥座敷の温泉で1泊。
新 金沢駅
しかし、鼓を模したという、新しい金沢駅にびっくり。
この新駅舎の大胆な造形に、訪れた人にとって忘れられない駅のひとつになるかも。
翌日に、九谷焼の茶碗祭りがGW中に開催されていることを知り、会場は混むので九谷焼陶芸村に向かう。
ここも何度も足を運んだ懐かしい場所。
ここで買ったいくつもの九谷焼が、今も私のお気に入り。
陶芸村の店舗でも値下げになっている物が沢山あり、道具は増やさないつもりでいたのに、ついついまた買い込んでしまった。
そうそうゆっくりする時間も取れない急ぎ足の旅ゆえ、次は新潟に向かい海岸の温泉地でもう1泊。
帰路の途中に私が興味を持っていた、今クローズアップされている石川雲蝶の彫刻を訪ねるのも目的だった。
魚沼の曹洞宗 西福寺に、幕末の名匠といわれる雲蝶の大彫刻や襖絵が残されているのだ。
天井画のある開山堂 お堂を保護している屋根がある
3年ほど前に、駅に貼ってあった新潟のキャンペーンポスターで、初めてこの雲蝶を知った。
何と表現してよいか分からないポスターの写真の迫力に圧倒され、しばらく気になっていたのだ。
新潟出身の友人に聞いてみても知らないと言うし…
そして後に、それが西福寺開山堂の雲蝶作の透かし彫り天井「道元禅師猛虎調伏の図」だということを知った。
それ以後、雲蝶はメディアに取り上げられ、今は越後のミケランジェロと称されているらしい。
写真が撮れないのでパンフレットから
私に迫力を訴えたその実際の天井を見た瞬間
これは越後のバロック!! だと思った。
そして、見せるためではなく寺の僧侶に捧げた雲蝶の志がこの天井の随所に表れ、見応えのある彫刻ばかり。
惜しいかな、漆喰細工だけは伊豆の長八さんには負けたかも。
折があれば、他の雲蝶の作品も訪ねてみたい。
こうして、遊び続きの私のGWは終わりを告げた。
後には疲労感がたっぷりだけれど。