声の仕事とスローライフ

ただ今、仕事と趣味との半スローライフ実践中。遠方の知人友人への近況報告と、忘れっぽい自分のためのWeb忘備録です。

涙の修了式

2012-12-29 11:02:57 | 自衛官時代の想い出
朝霧駐屯地での前期後期3ヶ月に
及ぶ教育訓練が終わると、7月には

いよいよ、全国の部隊への配属が決まります。

当時は、募集した自衛隊地方連絡部
( 現、自衛隊地方協力本部 )のある地元
に帰るというのが一般的でしたので

最初から音楽隊を希望した私以外の
ほとんどの隊員が郷里に近い駐屯地に配属になりました。

その直前に教育隊では修了式が行われ
ます。

お決まりのパターンですが、皆、この時とばかり、堰を切ったように大泣きをします。

教官達と向かい合っていると
いろいろなモノがこみあげてきて、
何を言おうとしても涙で声にならない
のです。

同じ釜の飯を食い、一緒に泣いて一緒
に笑った教官たちとも仲間とも、
もう二度と会えないかもしれない、

そう思うと、訓練の終わりの嬉しさよ
りも別れの辛さのほうが先立ち、
名残惜しさは尽きません。


でも、そんな新隊員たちを前にしている教官たちの表情は
薄い笑みを浮かべている程度で、ほとんど冷めています。

敬礼をして、感謝の気持ちを伝えるとき号泣するのは、なぜか新隊員たちだけなのです。(^^;;

新隊員はまるで、卒業式のような騒がしさなのに、
傍目から見れば、何とも不思議な光景に違いありません。(^.^)


いや、それよりもっと騒がしいのは、配属先へ向かう新幹線移動の道中です。


配給された真新しいベージュ色の夏
の制服を着て同じ色の制帽をかぶり、

東京駅に着くともうそこから
またまた涙涙の別れの瞬間が近づいて来ます。

ホームで抱き合う者、
言葉が出ずに泣いたまま手を繋いでいるだけの者・・・、

周囲の普通の人が見ればとても不思議な光景に見えるはずですが、

それを見た人達は、どう思ったでしょう。

「あぁ、やっぱり婦人自衛官も普通の
女性なんだなぁ」と思って貰えれば
嬉しいのですが…。

私の乗った下りの"ひかり″車内では、
一番遠いのが熊本の健軍に行く仲間
でした。

途中、静岡、名古屋で降りる仲間たちと
「また、会おうね!」と約束して別れ
ましたが、

「さようなら」は言いません。

この頃には、同じ「国防」というステージで働く仲間という意識がより強くなっているからです。

顔をクシャクシャにして手を降る仲間の顔は今でも忘れません。


215名の同期たちとの別れの日は

教育隊での貴重な時間を共有できた
事への感謝と、

厳しい訓練をやり遂げた満足感、

そして、これから行く配属先への期待感にとで、

生涯、忘れられない日になりました。




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