配属先の伊丹駐屯地に着いた日のことも忘れられません。
新幹線を新大阪で降り、
同じ駐屯地に配属が決った仲間と迎えの車を待っていると…
マイクロバスが来るかと思いきや、
やってきたのは例のモスグリーンの幌をかぶった
トラックでした。(ー ー;)
このトラックの荷台に私達同期の仲間
7~8人が荷物のように積みこまれるの
です。
それは、まるで
(ドナドナド~ナ♪)と
口ずさみたくなるような光景です。
7月の暑さの中、クーラーのない幌つきトラックの荷台は
30℃以上の暑さですが、
自衛官なるもの何をかいわんやです。
目的の伊丹駐屯地に着くと、
到着式が行われ、それぞれの配属先の長へ挨拶に行きますが、
移動の日だって勤務日ですので、
そのまま配属先部隊に入ります。
半日の移動を経て配属先の中部方面音
楽隊へ到着すると4名の先輩、婦人自
衛官たちが迎えてくれました。
「◯◯二士、只今、到着しました!」
と敬礼をすると、4名の中で一番年長者のW3曹が、
「お疲れ様でした」と声をかけてくれました。
前回、ここへきた時に会ったほっそり美人のS士長が、
こっそりと「別人かと思ったわ!」と笑いながら耳打ちしましたが、
真っ黒に日焼けして、がっちりと筋肉のついた私の姿を見て、
あのか細い女子大生の姿を思い起こすことは困難だったようです。
音楽隊の事務室に行き、
隊の中でも古顔の一等陸曹達と専任幹
部に挨拶をすると
優しい顔のH准尉が笑顔で近づいてき
て、
「朝霞は大変だっただろう、ご苦労さんだったな。」
と言ったとたん、
またハラハラと私の頬を涙が伝ったのでした。