自衛隊幹部になるのに一番の
近道は、防衛大学校に入る事です。
それは昔も今も同じでしょう。
ただ、試験の難しさは最近のデータをみると、学部
によっては60倍以上という狭き門です。
今は、女子も入校可能ですが、
30年前は男子だけに許されていました。
さて話は、その30年前に遡ります。
朝霞で初めての外出をした時の同行者同期のT子のデートの相手は、
防大卒の幹部候補生でした。
T子と幹部候補生が
池袋の駅構内で待ち合わせをしていた
時の光景は、今でも忘れません。
だんだん近づいて来る一人の若者。
スッキリした切れ長の目、通った鼻筋
角刈りアタマに、ジーンズとTシャツ。
いかにも自衛官です、という雰囲気は
私服姿でも、わかります。
ただ一つ、身長を除いては…。
背の高いT子がヒールの靴を履くと170cm以上になりますが、
幹部候補生は、それより低く、とても小柄に見えました。
( 防大って、背が低くても入れるんだ)
そう思った事を覚えています。
因みに、余談ですが
背が低いと入れない部隊もあります。国賓級のVIPを迎える時の儀仗
を受け持つ、302保安中隊です。
身長は高さを揃えないと綺麗に見えないワケで、太っていてもけない…。
本当か嘘かわかりませんが
容姿も選抜条件だと聞いた事があります。
防大とは別の「容姿端麗」というハードルがあるのですね。
さて、防大卒の幹部候補生と付き合っていたT子から、4つ年上の私は
よく恋愛相談を受けました。
不思議な話ですが、
初デートの時にプロポーズされた
と言うのです。
考えみれば、私とT子の彼は同い年です。
22、23歳の若者が高校を卒業したばかりの18歳の少女に結婚を
申し込んだと聞いて
私はつい笑ってしまいました。
そして、幹部候補生の真面目そうな顔
を思い浮かべ、
( さも、ありなん…)
と思ったのです。
防大に入ると、4年間もの間、
幹部になるための教育を受けます。
一番、遊びたい時期に…規律に固められた抑制生活を送るのです。
防大の卒業式では、一斉に帽子投げ
が行われるのは有名な話ですが、
それと同様で
卒業したと同時に一気に弾けても無理はないでしょう。
「マジメなんだね、彼は…。」
という私に
T子は、言いました。
「お家が貧しくて弟さんの学費を
仕送りしなきゃならないんで、
学びながら、給料を貰える防大に入ったんだって…。」
当時、防大進学を志願する男子は家庭
の経済的事情がある者が多かったのです。
後期にT子とは別々の区隊になって
しまいましたが
確かT子は、教育隊終了後
群馬の地元12師団に配属になったはず
です。
その後、あの防大卒の彼とはどうなったんでしょうか。
来年はWAC24期の35年目の同期会です。
前回の同期会では、都合がつかず不参加だったT子ですが、
ぜひ、聞いてみたいものです。(^-^)