映画「ゴーストライター」、英首相のゴーストライター謎の死？

映画「ゴーストライター」は、ポランスキーの作品だ。

ポランスキーらしく、小さな島で起こった、ゴーストライターの謎の死をめぐって、サスペンスあふれる事件が展開される。

この映画では、さしたるアクションやカーチェイスなど荒々しいものはない。しかし、刻々とせまる恐怖はその風景の暗さと相まってつのっていく。

玄人好みの、周到な前振りと、常に見るものをいらだたしい気持ちにさせて引き込む演出の力。

背景に、英首相とアメリカのある機関が絡んで、スキャンダルまがいの話なのだ。

英首相のゴーストライターとくれば、それなりの作家であるはずが、冒頭から肩透かし。

そして前任者の死の謎が重くのしかかる。

出てくる人物がなぜか怪しげ。

ただ、なぜゴーストライターがそこまで事件に首を突っ込むのか？

一端の疑問は残る。

ラストもえぐい。

映画「監督失格」、林由美香へのオマージュ！

映画「監督失格」は、林由美香へのオマージュだ。

前半は、すでに映画化されている、「由美香」の再編集版。

10年以上前の作品だが、監督が惚れ込んだ由美香と北海道へ自転車旅行する

ドキュメントだ。

ただ、お互い惚れている割には、途中でへこたれたり、喧嘩したりで

まあ、これが、実人生かなと思わせる。

自転車を使ったロードムービーでそれなりに面白い。

もともと、ＡＶだっただけに、裸が出てきたりする。

後半は、由美香の死だ。

別れていた由美香と久しぶりに仕事をすることになった監督が

彼女のアパートへ行くと、死んでいたという話。

何度もアパートへ行ったり電話したりするが、通じないので

由美香の母親と一緒に部屋に入ったら彼女は死んでいた。

その時の様子（母親の狂らんするばかりの慟哭）を、

由美香の弟子が撮影していた。

一度お蔵になっていたが、

今回、これを後半のテーマとして映画にした。

もともと、平野監督はＡＶだが、ドキュメントの才能が有り、

それがこの映画で開花したといえようか。

私的感情を抱えながら、生と死に向き合う姿が感動を呼ぶ。

映画「スリーデイズ」、妻を監獄から脱出させる夫のサスペンスドラマ！

リメイク作品だが、オリジナルは見ていない。

冤罪でつかまり、20年の刑を宣告された妻を脱獄させる話だ。

前半、丁寧に夫婦と一人っ子の家族関係を描く。

夫婦仲がいい。この前提があって、冤罪という不条理に対し立ち向かうのだから、

決していいことではないが、主人公に感情移入してしまう。

夫は、大学教授、まったく普通のサラリーマンだ。

だが、冤罪の前には、脱獄しかない。

そこで、入念に計画を立てる。

殺人事件まで起こしてしまうが、

妻を刑務所から連れ出した後、いろんな仕掛けがあって

ハラハラドキドキ。

警察は、目の前に迫っている。

さらに、広大な捜査線が張られている。

そんな中、息子を連れだし、果たして三人で逃亡できるのか。

連れ出した妻は錯乱し、一度は車から落ちかかる。

全部、おーらいではないのだ。

ラストに、ちょっとした仕掛けがあるのだが。

市川崑 の「私は二歳」、NHK山田洋次が選んだ日本映画１００本。

1962年の作品。

戦後、やっと落ち着いて、公団住宅など、住環境も改善されてきた時代。

２歳の赤ちゃんをめぐっての、夫婦及び家族の物語だ。

赤ちゃんが、感想をしゃべるというちょっと変わった作品だ。

当時「私は二歳」という、育児書が刊行され読まれていたが

これを、市川監督の奥さんが脚本にしたもの。

子供をめぐっての夫婦の争い、和解。

後半は、兄が転勤で、母親の家に住むことに。

赤ちゃんにとっては、おばあちゃんができた。

夫婦とおばあちゃんとの確執。それも赤ん坊をめぐって。

とまあ、特別のことのない淡々とした当時の生活の情景。

これが見事に、赤ん坊を巻き込んで、一種社会批評というか

人生観というかそんなものが描かれている。

船越英二と山本富士子が夫婦でいい味出している。