町田営業所業務日報

地元周辺の鉄道・バス車両について気紛れに綴ります。

引退が迫り来る都営浅草線5300形

2021年08月13日 | 首都圏の地下鉄

2018年より浅草線リニューアル・プロジェクトの一環で導入されている5500形と入れ替わりで廃車が進行している都営5300形ですが、残存数が遂に53195320編成の82本のみとなりました。1991年から1997年に掛けて8両編成27本の合計216両が製造された同形式は、いずれも車齢30年を超えない内の廃車が進められ通勤電車としては早期の引退を迎えることになってしまいました。

本形式の車体は都会的センスあふれる斬新なイメージをコンセプトに掲げ、日立製作所デザイン研究所がデザインを手掛けており、146次車は日立製作所製ですが、2次車は川崎重工業、35次車は日本車輌製造、57次車を近畿車輛と4社で分担して製造されています。同時期に12号線(現在の大江戸線)用の12-000形で初採用したVVVFインバーター制御・LED式行先表示などの新機軸をふんだんに盛り込み、非冷房・抵抗制御の5000形が主力だった1991年当時は大幅なサービス向上になりました。現在も運用中の53195320編成は5次車で、1994年度に近畿車輛で落成しています。

エアポート急行で京急本線を走行する5324編成。土日の41T運用は都営車を充当しながら、ほぼ終日に渡り羽田空港〜逗子・葉山間の京急線内のみで完結する珍しい運用です。写真の編成は1995年度の落成ですが、20201213日に運用を終了し、同月16日に廃車となりました。

5500形が初お披露目された都営フェスタ2017での場面。正面スカートの短い初期車と寸法を長くした後期車の2本と並べられ展示されました。初期車の形態は2021年5月に廃車となった5314編成を最後に消滅しています。

車内設備は路線名の由来でもある浅草のイメージし、隅田川沿いに咲く桜の並木道を表現しています。2000年度から開始されたC修繕工事(登場10年程度の車両に施工する簡易な工事)で座席やカーテンが交換されイメージが変化しました。2010年からはバリアフリー対応工事が追加で実施されドア付近の床の黄色化や警戒テープ貼り付け、座席へのスタンションポール設置、車椅子スペース増設などが施工されています。2010年に入ってから新形式導入の計画が浮上したため、走行機器更新を伴う大規模修繕工事(B修繕)は見送られました。

アルミ合金車体の18メートル車両ということで、地方私鉄への譲渡も期待されましたが、標準軌で短編成化には機器の移設が必要になる点が敬遠されたのか、今日に至るまでついに発生することは無く、廃車後は全ての車両が解体処分になってしまいました。現在の2編成も運用終了後は同じように解体される事と思いますが、比較的経年は新しい部類に入るので活用の道が見つからなかったのが残念なところです…。

コメント (10)
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