京成では成田スカイアクセス線向け3100形の導入により3400・3600形の廃車を進めていますが、1972年に登場し、現在の京成通勤車の中では最古参になった3500形は未だに更新改造を受けた52両が在籍し、運用削減に伴う余剰廃車は出たものの普通列車を中心に活躍を続けています。特に現存する同形式の内3501〜3516は車齢50年が目前に迫って来ました。
ステンレス車体に冷房装置を新製時から搭載して京成ではエポックメーキングな車両となった3500形。構体を普通鋼製とした所謂セミステンレス車ですが、登場当時は珍しい存在だった為一際目を引き、京成通勤車のイメージを一新しました。これにより、1952年から登場した「青電」と呼ばれる緑の濃淡塗装を纏っていた旧型車グループが置き換えられています。
現在は1996年〜2001年に施工された更新工事で、正面の改造や京急線直通に伴う先頭車の電動車化、側窓の交換、車内設備の一新などから登場時とは印象を大幅に変えました。都営浅草線・京急線直通運用は2015年で終了しましたが、唯一の4両編成を組んでいることから6両編成が入線出来ない写真の金町線など、車両運用上は欠かせない存在となっています。
4+2の6両編成で普通列車運用に就く姿。3500形は中間で2+2に分割することも可能な為、本線・千葉線普通列車など6両編成主体の運用ではこのような組成で運用されています。車齢は高いながらも、まとまった数が残っているのはこの柔軟性が大きいようですね。
更新改造で大幅に登場時とは設備が変わった車内ですが、首を振る扇風機がこの形式が登場した年代を物語ります。座席は当初オレンジ系のモケットで1人分が独立したタイプでしたが、2002年から現在のラベンダー系バケットシートに交換されました。戸閉装置も3600・3700形と同一品に換装され、未更新車とは動作が異なっています。
現役最古参でありながら柔軟に編成組み替えに対応するおかげで置き換えが先延ばしにされてる3500形ですが、更新工事は全車に及ばず初期車から施工され2001年に終了した為、車齢の若いグループが先に廃車にされ経年の高い初期車が多く残ることになり来年には50年目を迎えようとしています。仮に置き換えが本格的に開始されたら、3100形を普通列車用に4両と6両で製造するのか、はたまた他形式の電気系統を改造して金町線用に4両を組成するのか、興味深い点です。