男は黙って○○ビール、なんてコマーシャルがあったわね。
いいえ、それではいけない場合もあるのよ。
目配り気配り360度、言うことは言う、聞くことは聞く、決断する時はきっぱり決断する。男はこうであらねば。
黙って済まそうなんていかん。
それにしても。
♪いつのことだか思い出してごらん、あんなことこんなことあったでしょう
と歌われても思い出せない1月2月、何が何だかあっという間に過ぎて。
朝目覚めた時など、今自分がどこにいるのかと一瞬戸惑ってしまうことがあるわ。
あれま、言いたいことがあっちこっちに。
要するに冠婚葬祭、特に葬祭部分で葬儀関係一切合財を滞りなく取り仕切る男性っていいなあと思って。
今度結婚するならそんな男性としようと思うわけでして。
えっ?うちの夫?
なにしろ父が死んだときは、何もかも決まった後におっとり刀で駆け付けたから、通夜の席上喪主挨拶をしたくらいの任務。
それも、お坊さんが読経をあげているときにやおら立ち上がって出て行ったから「どうした?」とそっと聞くと、我慢できずにトイレに行ったという前代未聞な出来事をやらかした。
このたびの母のときはそうはいかない。
父の葬儀の時は父の実家のいとこがやってくれた葬儀社との相談打ち合わせ、お寺さんとの相談打ち合わせ、役所関係手続、すべて取り仕切らねばならぬ。
お斎のお膳を囲む席の手配だけは私がやったが、本来ならそれもやらねばならぬ。
私が一人っ子でなく兄弟がいたらまたは親戚が多かったら、そのうちの誰かが全て滞りなくやってくれて、
我らは悲しみに浸ってぼんやりしていればいいのだが、なんせそういう人は誰もおらぬ。
なにもかも皆々我ら夫婦がやらねばならぬ。
夫は母が亡くなった1日目にしてくたびれ果てたのか、その夜から寒気がするだの腹を壊しただのとぐちぐち言い出してトイレ通い。
翌日は火葬場に行ってお通夜をしてというここ一番の山場の日。
「腹が治らん」と不安そうだ。ほんと、プレッシャーに弱い。
あげくに、母の紙おむつをはいて行こうかだの火葬場にトイレはあるかだの、と後の予定に手抜かりがないかと気が立っているいる私に「知らん!」と言いたくなることを訴える。ま、気持ちは分かる。
火葬場に行く途中、待ったなしの腹痛に襲われたらえらいことになるものね。
幸いそういう事態にならずに終わったけれど。
私はつくづく思ったわけよ、こんなときでんと構えて任せとけ!っていうできる男がいいなって。
やっぱり男は葬式の一つや二つを出して、気配り目配り諸事万端上手くいってもいかなくても経験することで
一人前になるんだなって。(えらそうでしょ)
夫も何もかも初めてのことで、しかも妻の土地というアウエイ状態だからテンパっていたのね。
仕方ない、いっか。もうこれからはないもんね、自分たちの時は簡単に済ませようと決めてるんだから。